2023年のコロンボウェサックとウェサックの代表的装飾や催し物の紹介

2023年5月5日は満月日(ポヤデー)で、ウェサック祭の初日
ペラヘラや花火での幕開けが宣言され、コロンボでは装飾も人出も多く大変にぎやかな初日となりました。
5月(ウェサック月)のポヤデーは、仏陀の誕生した日悟りを開いた日そしてこの世を去った(入滅)日として、スリランカで最も重要な仏教の祭事の日となっています。この月だけはポヤデーとその翌日も祝日となり、国を挙げて盛大に祝われる祭典でもあります。
しかし、2019年は4月に発生した爆破テロ事件の影響で自粛となり、2020,21年はコロナ禍においての外出が制限され、2022年は経済や政情を反映して国を上げてのイベントは見送りとなったため、実に5年ぶりの盛大なウェサックとなっています。
通常ウェサックは5月の満月日とその翌日の2日間にわたり祝われますが、今年はその翌日の7日は日曜日のため、コロンボのウェサックゾーンは3日間にわたりウェサック祭が開催されます。

スリランカのウェサックの代表的装飾や催し物

※写真は全て今回(2023年)のものです。

◆仏教旗(仏旗)◆

仏教のシンボルとして掲げられる旗で「六色仏旗」とも呼ばれます。シンハラ語ではバウッダコディヤ(බෞද්ධ කොඩිය)と呼ばれます。

この仏教旗は1885年にスリランカ(当時の国名はセイロン)でデザインならびに発表されたもので、1950年に開かれた世界仏教徒会議で「国際仏旗」として定められました

悟りを開いた仏陀の体から6色の光が放たれたという言い伝えに基づいて、仏陀の光明を表したもので、左から青・黄・赤・白・橙色の5色の縦じまに加えて最後の縦じまには上から 青・黄・赤・白・橙色の5色が配置されています。最後の5色の縦じまは「輝き」を表しているとされます。
そのため、ウェサックの装飾は仏旗が掲げられる以外にも、仏旗のカラーを用いた電飾や装飾が目立ちます。

ロータスタワーも、仏旗カラーとなっています↓

◆ウェサックランタン◆

ランタン(提灯)はシンハラ語でクードゥ(කූඩු)。ウェサックランタンはウェサッククードゥ(වෙසක් කූඩු)と呼ばれます。
ウェサック時には、基本的に立方八面体のランタンを吊り下げます。この立方八面体のランタンは、シンハラ語でアタパッタマ(ඇට පට්ටමと呼ばれます。
この立方八面体にも大きな意味があります
仏教においてという数字は、八正道(涅槃に至るための八つの正しい心がけ)に通じる大事な数字となっています。
側面にあたるつの面は、仏教における四諦(四つの真理)を象徴しています。
アタパッタマの上部と下部には紙を貼りません。この上下は、人生の入口(誕生)と出口(死)を象徴しているといわれます。
そして、アタパッタマにつけられる吹き流しは、浮き沈みや喜びと悲しみなど人生を象徴しているといわれています。

からくり灯籠

ウェサックの見どころの一つが、大型の仕掛け灯籠の展示です。これは、警察や軍隊、学校や地域団体などグループで作られるもので、コンペティションとなっている場合もあります。道路脇や会場が区画分けされ、それぞれのグループが大掛かりな灯篭を作ります。
仕掛け灯籠は、スリランカの民話仏陀に関する物語の一場面をモチーフにしているものも多く、これらの話を知っているとより楽しむことが出来ます。

仕掛け灯籠の展示のエリアは、特に多くの見物客が訪れます。
仕掛け灯籠は夜にお披露目となるため、日中の仕掛け灯籠のエリアは幕が下りています。

◆パンドール(トラナ)◆

人々が多く集まる場所に設置される巨大なパネルは、パンドール(トラナ)と呼ばれるもので、550編のジャータカ物語(釈迦の前世の物語:本生譚)のうちのいずれか一編が描かれています。
※中央の仏陀の顔が白い布で覆われているのは、お披露目前の為。

◆バクティギー(奉納歌)◆

特設会場などでは、奉納歌が斉唱される様子も見ることが出来ます。
シーママラカ寺院のあるベイラ湖には舟が浮かべられ、その舟に乗った合唱隊が斉唱しています。

◆ダンサラ◆

そのほか各地でウェサックの期間中、都市や村のさまざまな場所や道路脇で"ダンサラ"と呼ばれる振る舞いの光景を見ることができます。
ダンサラとは、仏教の価値観である「与える」「分かち合う」という精神に基づき、個人や企業などの団体が徳を積む行為として、無料で飲み物や食べ物を通りすがりの車や人に振舞います。
アイスクリームダンサラや、ライス&カリーなど人気のダンサラには長蛇の列ができます。
ニュース記事によると、コロンボの6つのウェサックエリアでは約125件のダンサラが予定されており(5/4の時点で公衆衛生局に届け出が出ている数)、ご飯ものを提供するダンサラは49件、アイスクリームダンサラは23件、キャッサバは10件、その他にもビスケットやひよこ豆などのおダンサラが実施予定とのことでした。

コロンボの代表的施設のウェサック装飾(2023年)

旧国会議事堂/大統領事務局(Presidential Secretariat)

テンプルツリー/首相官邸(Temple Trees)

コロンボ市庁舎/タウンホール(Colombo Municipal Council)

独立記念ホール(Independence Hall)

インディペンデンスアーケード(Arcade Independence Square)

BMICH(Bandaranaike Memorial International Conference Hall)

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ウェサックは「光の祭典」とも呼ばれるように『光(パーリ語でアーローカ)』がとても重要となります。暗闇の中の光は、正しい道をを確保するための道しるべともいわれ、ウェサック装飾の鮮やかで美しい光は「四諦」を理解するための悟りを示しているといわれています。そのため、ウェサックの期間は民家のランタンなども夜通し点灯されています。
ウェサックは一部地域を除いて、スリランカ全土で祝われるため、この時期に合わせてスリランカを旅行する際は、仏教寺院だけでなくホテルや商業施設、一般家庭の軒先、移動中の道路沿いなどあちらこちらでウェサックの装飾を楽しむことができます。
また、ランタンはウェサック祭り以後もしばらくはそのままになっているので、ウェサックから日にちがずれても装飾を楽しむことができます(仕掛け灯籠や電飾はウェサック終了後にすぐに撤去されることが多いです)。
ウェサックは仏教の祭典ですが、モスリムやキリスト教の学校にもランタンが飾られたり、仏教徒のみならず、スリランカの他宗教の方もふくめて多くの人がウェサック見物に繰り出し、人が多く集まる場所では屋台や移動販売がでて、とても活気に溢れた日ともなり、宗教祭事ながらスリランカの経済的にも大きな役割を果たす行事であることを実感します。


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