コーヒーサビ病によって産業は一度壊滅しましたが、近年は品質の高い「セイロンコーヒー」が復活し、国内外で注目を集めています。
スリランカはかつて世界有数のコーヒー大国だった
アラブ商人が持ち込んだコーヒーの始まり
イギリス統治時代に拡大したコーヒー産業
オランダの植民地支配下にあった1780年頃にオランダ人が商品作物としてコーヒーを植え始めたとされています。その後イギリスの植民地支配下となった後もコーヒーの栽培は引き継がれ、コーヒー農園は拡大し続けました。ヨーロッパ市場を支えたセイロンコーヒー
ジャマイカのコーヒー農園で経験を積んだ農園主R.B.バトラーが、1837年にセイロンに来て、より良いコーヒーを収穫する方法を導入しました。
その成果もあり、1863年には、ヨーロッパに輸入されたコーヒーの額は2億7千万ポンドに達し、その3分の1近くがスリランカから輸出されたものとの記録があります。コーヒーから紅茶へ|産業転換の歴史
コーヒーサビ病で壊滅したコーヒー農園
この真菌症は『コーヒーサビ病(Hemileia Vastatrix)』と呼ばれるものでした。
1880年にはこの病気によってコーヒー農園が壊滅し、セイロンのコーヒー産業は衰退しました。
1870年には27万5千エーカー(約11万1,300ヘクタール)あったコーヒー農園の規模は、1900年代にはわずか1万1,392エーカー(約4,610ヘクタール)にまで減少しました。
ジェームス・テイラーと紅茶産業の誕生
「紅茶の国」への転換
スリランカの気候風土に合致した紅茶栽培は広がり、スリランカは「コーヒーの国」から「紅茶の国」に転換しました。紅茶はスリランカ人になくてはならない飲み物
スリランカに残るコーヒー文化「コーピー」
ライムコーヒーなど民間療法としての利用
家庭で親しまれるコーピーの飲み方
スリランカで一般に販売されているコーヒーは細挽きの粉末タイプが主流で、ホテルやレストランで提供されるコーヒーもコーヒーの粉末を沈殿させて上澄を飲む方式が主となっていました。
近年広がるスペシャルティコーヒー文化
セイロンコーヒー復活の歩み
野生化したコーヒーとの再会
Oudenhovenは、NGOの仕事でスリランカに移住していたシアトル出身の焙煎士ローレンス・ゴールドバーグとともに、品質の高いコーヒー豆の生産に取り組みました。
アナログ・フォレストリーによる持続可能な栽培
多くのコーヒー農家は80年代にラニル・セナナヤケ博士がスリランカで開発した作物管理法「アナログ・フォレストリー」を実践している所が多いといいます。
コーヒーだけではなく、胡椒など他の商業作物と併せて栽培され、自然の樹冠を切り崩すことなく栽培する、シェードグロウン(木陰栽培)に共通した方式です。単一栽培による病気の発生を防ぐとともに、環境にも優しく、持続的な栽培が見込めるといいます。
スリランカでは、主にアラビカ種 (Coffea arabica) とロブスタ種 (Coffea canephora)のコーヒーが栽培されています。
2022年の生産量と輸出状況
輸入市場も拡大しており、2021年にはコーヒーの輸出量は50.56メトリックトンで、おもな輸出国は、オーストラリア、アラブ首長国連邦、米国、モルディブ、ニュージーランド、チリ、英国、ドイツとなっています。
おすすめのセイロンコーヒーブランド7選
Hansa Coffee|セイロンコーヒー復活の先駆者
そのLawrenceが 2004年に設立したのがHansa Ceylon Coffee(Pvt)Ltd.。Hansa(ハンサはサンスクリット語由来で「白鳥/ガチョウ」の意味) Coffee"のブランド名で流通を開始します。(※
ハンサは❛ガチョウ❜とする説もありますが、こちらの会社は英名をBlue Swanとしています)
セイロンコーヒーの筆頭ブランドでもあるこの会社のコーヒーは、現在スーパーやBarefootなどでも 取り扱いがあるほかJetwing LighthouseやCeylon Tea Trailsなどラグジュアリーホテルの部屋にもコーヒープレスとともに置かれています。
スリランカの標高1,600メートル以上の場所の小規模農家において、シェードグロウンという栽培方法にて育てたアラビカ豆を調達し、手作業で選別して焙煎したコーヒー豆です。
Amba Estate|社会貢献でも注目されるブランド
日本でも紹介されているので、名前を聞いた事がある方もいるかもしれません。
Amba estateのコーヒーは、疫病の生き残りから採れたもので一般的なアラビカ種の豆より大きいのが特徴です。
またこの豆は焙煎機ではなく、パンローストされているため、一般的なコーヒーとは異なる香りと味が特徴とされています。
製品の収益の10%は労働者と地域社会に還元され、収益の1%は従業員が管理する福祉基金に充てられ、コミュニティ形成のための活動や投資、村の家族への支援に使われています。農場での付加価値は、地元の雇用を300%、地元の収入を400%増加させたといわれています。Wight & Co.|農園から焙煎まで一貫生産
ハンサコーヒーが焙煎豆の仕入れを開始したのと同じ頃、夫妻は最高のコーヒーを作るために、コーヒーのサンプルを集めていました。
スリランカのヌワラエリヤは赤道から約7度の位置にあり、エチオピアのJimmaゾーンと同じ緯度線上に位置しています。
2002年には、夫妻はヌワラエリヤの渓谷に100エーカーの土地を確保し、オリジナルブランド「ルビー・ハーベスト」の豆の生産を開始しました。2000〜3000株の苗木からスタートでした。
夫妻は、コーヒーの植え付けから収穫、加工、焙煎に至るまで、すべての工程に自ら関わっています。
LYBS|女性活躍と小規模農家を支えるブランド
その日に焙煎されたコーヒーは、香りを保つためにその日のうちにすべて包装されています。
LYBS社は男女平等と女性のエンパワーメントを優先し、調達先やサプライチェーンで数名の女性を雇用する方針をとっている会社でもあります。Helanta Coffee|日本にも輸出されているブランド
スリランカの丘陵地帯にあるコトマレ地区の1,500 以上の小規模農家のネットワークからコーヒーを集めて焙煎しています。
高品質のフォレストガーデンコーヒーを生産するために、定期的なコーヒー農家訪問とトレーニングを行い、オーガニック技術を推進しています。利益の一部は、コトマレ地区の学校やコミュニティのイベントを支援するためにも使用されています。Soul Coffee|国内外で人気のプレミアムブランド
Soul Coffeeは、2014年に設立されたコーヒーブランドで、"Coffee for the Soul "というシンプルな目標を掲げる国内のプレミアムセイロンコーヒーのトップブランドになっています。セイロンコーヒーを国内のスーパーのみならず、中東やスイスにも輸出もしており流通が広いブランドでもあります。
Tusker Coffee|オーガニック農法で育てるコーヒー
番外編:Island Coffee|昔ながらの「コーピー」の味
基本となる豆の販売は3種のみですが、バニラやスパイスなどフレーバーコーヒーも充実しています。
セイロンコーヒーをお土産に選ぶポイント
豆で購入するのがおすすめ
というのは、挽き豆は細挽き(粉状)が多く、沈殿させるかコーヒープレッサーで飲むのに適しています。
フィルターで淹れると目詰まりを起こし濾過が出来ません。そのためフィルター派は豆での購入をお勧めします。紅茶との飲み比べも楽しもう
コーヒーサビ病によって一度は姿を消したセイロンコーヒーは、多くの生産者の努力によって再び注目を集める存在となりました。現在は環境に配慮したシェードグロウン栽培やアナログ・フォレストリーを取り入れ、高品質なコーヒーが各地で生産されています。












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