2022年7/2追記) 2022年は8/2~8/11(8/12はディペラヘラ)の日程で開催されます。
毎年7〜8月頃にスリランカ中部・キャンディで開催されるキャンディ・エサラ・ペラヘラ(Kandy Esala Perahera)は、世界でも有数の壮大な宗教行列として知られています。ライトアップされた象や伝統舞踊、太鼓の演奏が街を彩る華やかな祭りとして有名ですが、その背景には仏教信仰や古代から続く雨乞いの儀式など、長い歴史と深い意味が込められています。
この記事では、キャンディ・エサラ・ペラヘラの歴史や由来、10日間のスケジュール、祭りを構成する5つの儀式、それぞれの見どころを分かりやすく解説します。事前に祭りの流れを知っておけば、現地で鑑賞する際はもちろん、ライブ配信や映像で楽しむ場合も、その魅力をより深く味わえるでしょう。
キャンディ・エサラ・ペラヘラ2021年のスケジュール
2021年は8月13日より23日までの10日間にわたり開催されます。
各日の開始時刻は下記のとおりです。
各儀式の開始時刻の吉兆時間(Auspicious timeは、毎年ホロスコープによって)が決められます(SSTはスリランカ時間)。
キャンディ・エサラ・ペラヘラの10日間のスケジュール
祭り全体の流れ
ペラヘラのスケジュール表を見てわかるとおり、大きく分けると5つのパートに分けられます。一般的に『ペラヘラ祭り』として主に鑑賞されるのはクンバルペラヘラとランドーリペラヘラです。
1.『Kap』の儀式
2.クンバルペラヘラ(5日間)
3.ランドーリペラヘラ(5日間)
4.『水切り』の儀式
5.デイペラヘラ
それぞれについて、下記より簡単に説明します。
キャンディ・エサラ・ペラヘラとは?
「エサラ」と「ペラヘラ」の意味
「エサラ」はスリランカ暦のエサラ月を、「ペラヘラ」は「行列」を意味し、エサラ月に行われる盛大な宗教行列が「エサラ・ペラヘラ」です。
仏歯寺で行われるスリランカ最大級の祭り
キャンディエサラペラヘラは、毎年エサラ月の新月の5日後から10日間にわたり、スリランカ中部州キャンディで行われる祭りで、仏歯寺(Temple of the Sacred Tooth Relic/シンハラ名での呼び名はDalada Maligawa)にある仏陀の遺物(犬歯)に敬意を表して開催されます。ペラヘラの最終日はニキニポヤデー(満月日)となります。
エサラ・ペラヘラとダラダ・ペラヘラの融合
キャンディのエサラペラヘラは、エサラペラヘラ(Esala Perahera)とダラダペラヘラ(Dalada Perahera)の2つのペラヘラが融合したものだと考えられています。
キャンディ・エサラ・ペラヘラの歴史
雨乞いの儀式として始まったエサラ・ペラヘラ
エサラペラヘラの歴史は紀元前3世紀にさかのぼると考えられており、仏教の四神(ナータ神、ヴィシュヌ神、カタラガマ神、パッティニ神)を崇拝し雨乞いの神を呼び出す儀式として行われていました。
仏歯信仰とダラダ・ペラヘラの誕生
一方のダラダペラヘラは、4世紀に仏陀の遺物(犬歯)がインドからスリランカに持ち込まれたときに始まったと考えられています。
キャンディ王朝で現在の祭りの形が確立
2つが融合したペラヘラ(キャンディエサラペラヘラ)は、キャンディ王朝のキールティ・スリ・ラジャシンハ王(1747~1782年)の時代に始まったといわれています。
この時代、仏歯は王の私物とされており、一般の人が拝む機会はありませんでした。
しかしラジャシンハ王は、大衆にも仏歯を見せて信仰心を高める機会を作るために、仏歯をペラヘラで披露することを命じたといわれています。
1815年にキャンディ王朝が滅亡した後、仏歯の保管はマハ・サンガ(仏教聖職者)に引き継がれました。そして現在も仏歯寺に安置されています。
① Kap(カプ)の儀式|祭りの始まりを告げる神聖な儀式
です。「Kap」とは神聖な若木を意味し、ジャックフルーツの若木が用いられます(Kapa(Kapiya)とは南インドで呼ばれるジャックフルーツの別名)。
Kap Kapeema(若木の伐採)
8/8の早朝4:10にジャックツリーの若木(Artocarpus integrifolia)が銀の斧で切りだされ(Kap Kapeema)、タスカー(牙を持った雄象)によりキャンディ郊外のAluthnuwara Dedimunda Devalaに運ばれました。※日時は2021年の場合です。
写真はSri Dalada Maligawa公式ページより
Kap Situveema(四神を祀る神殿への奉納)
そののち午後3:10に、Natha神、Vishnu神、Kataragama神、Pattini神が祀られた4つのデー
ワーレ(神殿)下記地図参照)に分配されました。※日時は2021年の場合です。
これらの若木は8/9の1:09にそれぞれのデーワーレの敷地に奉納されます(Kap Situveema)。この儀式により四神(ナータ神、ヴィシュヌ神、カタラガマ神、パッティニ神)の祝福を呼び起こすものとされています。
写真はSri Dalada Maligawa公式ページより
4か所のデーワーレ
② クンバル・ペラヘラ|祭り前半5日間の行列
クンバル・ペラヘラとは
ペラヘラの最初の5日間をクンバル(Kumbal)ペラヘラといいます。
Kapの儀式の6日後に始まります。
ランドーリ・ペラヘラとの違い
悪霊や悪意を追い払うために行われるとされるこのペラヘラは、ランドーリ・ペラヘラより規模が小さいと説明されますが、行列の規模のみならず仏歯の管理者で行事の最高責任者とされるニラメが参列しないほか、仏歯を運ぶ牙を持った雄象(タスカー)も、クンバルペラヘラでは儀礼的な衣装を着けずに参加するなど、ランドーリペラヘラと多くの異なる点があります。
③ ランドーリ・ペラヘラ|祭り最大の見どころ
残りの5日間をランドーリ(Randoli)ペラヘラといいます。
「ランドーリ」の意味
「ランドーリ」とは王妃が乗ってきた駕籠のことを指します。
王のいた時代は、王様の主席王妃が駕籠に乗って行列に参列していたそうですが、仏教行事としての色合いが濃くなっていくにつれて、王妃の参加は聖遺物の行列にふさわしくないとされ、やがて王妃の参列はなくなったものの、王妃の名誉を残すため行列の最後尾に駕籠のみを担ぐようになったとされています。
それぞれ後半に行くほど隊列が増え盛大になります。
4つのデーワーレから始まる行列
4つのデーワーレ(上のマップ参照)の敷地内でそれぞれデーワーレペラヘラ(Devale Perahera)が行われます。
1つ目の行列は、Natha神を祀ったナータ寺院(Natha Devalaya)(14世紀に遡るキャンディで最も古い建物のデーワーレ)から。
2つ目の行列は、Vishnu神を祀ったウィシュヌ寺院(Vishnu Devalaya(Maha Devaleとしても知られています)から。
3つ目の行列はKataragama神(戦士の神Skandaと同一視される)を祀ったカタラガマ寺院(Kataragama Devalaya)から始まります。
この行列にはクジャクの羽をちりばめた半円形の木製の仕掛けを肩に担いで踊る(Kavadi)の隊列が含まれてるのが特徴です。
4つ目の隊列は、伝染病の治療に関連する女神で干ばつや飢饉の時に奉られるPattiniを祀ったパッティニ寺院(Pattini Devalaya)からスタートします。
4つのデーワーレからの行列のうち、女性の踊り手がいるのはこの行列だけです。
デーワーレペラヘラは仏歯寺に向かい、仏歯寺をスタートする仏陀の犬歯を納めた容器を載せたタスカ―(牙のある雄象)やダンサーなどのダラダペラヘラと合流します。
象・ダンサー・伝統音楽が彩る壮麗なパレード
ペラヘラの隊列は通常、ペラヘラの開始を知らせる鞭打ち隊(Kasa-karuwan)が先頭となり、火の玉のアクロバット隊(Gini-karuwan)が続きます。
ペラヘラは雨乞いの儀式でもあり、鞭の音は雷鳴を火の玉は雷光、太鼓は雨音を表しているとされています。この2つの隊は祭りの開始や道を確保する役割があります。
続いて国旗を持った旗手を先頭に仏旗や各州の旗などを持った旗手の隊列(Kodi-karuwan)が登場します。それに続いて、楽器隊(Hevishi pela)の登場となっていきます。
一番最初の象に乗ってやって来るのはPeramune Rala(ぺラムネラーラ)呼ばれる役人で、ヤシの葉に儀式の38の決まり事を書いたものを手にしています(下記写真参照)。
写真はスリランカ政府観光局(Sri Lanka Tourism)のペラヘラ生配信をスクリーンショットしたもの
それ以降も電飾や装飾が施された象や太鼓やラッパなどのミュージシャン、ダンサー、旗手のグループが続きます。
仏歯を運ぶ象や行列の特徴
白装束(仏教参拝における正装)を着た歌い手の隊列は、仏歯を安置した黄金の容器を運ぶタスカ―(牙のある雄象)の到着を告げる役割を果たしています。
仏歯を運ぶタスカ―は神聖なものとされ、歩く前には白い布が敷かれます。
その後も様々なダンサーが続きます。
④ 水切りの儀式(Diya Kapeema)とは
ランドーリペラヘラ最終日の翌日(11日目)には『Diya Kapeema』と呼ばれる水切りの儀式が行われます。
マハウェリ川で行われる神聖な儀式
ランドーリペラヘラの最終日に、行列の一部(4つのデーワーレの隊列が中心)と上記の4つのデーワーレの祠を担当するカプララ(Kapurala)がそのまま(夜通し)キャンディ郊外のゲタンベ(Getambe)のマハウェリ川に進み日の出を待ちます。
黄金の剣と黄金の水差し
日の出とともにカプララが川の中に入ります。カプララの一人が黄金の剣の先で水の中に円を描くのを合図として、前年に同じ場所で水を入れた黄金の水差し(Ran kendiya)の水を川に流します。
剣で水を切り分け、空にした黄金の水差しにマハウェリ川の水を汲みます。
新しく汲み上げられた水を入れた黄金の水差しは翌年のキャンディエサラペラヘラまで仏歯寺で保管されます。
聖水に込められた意味
水切りの儀式で集められた水は神聖なものであり、この水には魔除けの効果があると考えられています。
そのため、観衆の一部は水切りの儀式が行われる下流に入水し、流された聖水を体に触れさせる行為が見られます。
⑤ デイ・ペラヘラ|祭りを締めくくる最後の行列
水切りの儀式を記念して、キャンディエサラペラヘラの幕引きとなる「デーペラヘラ(Day Perahera)」が開催されます。
水切りの儀式に参加した隊列が、キャンディに向かって戻るペラヘラを「デイペラヘラ」といいます。
仏歯寺へ戻り祭りが終了
キャンディに戻り、マーリガワペラヘラと合流した隊列は、D.S.セナナヤケ通りとラジャ通りを3回まわり、仏歯寺に戻ったのちそれぞれのデーワーレからスタートした隊列はそれぞれのデーワーレに戻って解散し、年に一度のキャンディエサラペラヘラは終了となります。
祭りの歴史を知ると見え方が変わる
キャンディ・エサラ・ペラヘラは、ライトアップされた象や華やかな伝統舞踊が注目される一方で、その根底には仏歯信仰と古代から続く雨乞いの儀式という二つの伝統が息づいています。祭りは「Kapの儀式」から始まり、「クンバル・ペラヘラ」「ランドーリ・ペラヘラ」、そして「水切りの儀式」「デイ・ペラヘラ」へと続く10日間の壮大な宗教行事です。
それぞれの儀式や行列には意味があり、登場する象や踊り、楽隊、4つのデーワーレの行列にも長い歴史と信仰が込められています。背景を知ってから鑑賞すると、単なる華やかなパレードではなく、スリランカの文化や宗教を象徴する祭りであることが実感できるでしょう。
現地でその迫力を体感するのはもちろん、ライブ配信や映像で鑑賞する場合でも、祭りの歴史や流れを理解しておくことで、キャンディ・エサラ・ペラヘラの魅力をより深く味わうことができます。ぜひ一度、このスリランカを代表する伝統行事に触れてみてください。
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