キャンディエサラペラヘラについて

2022年7/2追記) 2022年は8/2~8/11(8/12はディペラヘラ)の日程で開催されます。
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キャンディエサラペラヘラ(Kandy Esala Perahera)が今年は8月13日より23日までの10日間にわたり開催されます。

昨年に引き続きCOVID-19の影響もあり、ペラヘラの模様はスリランカ観光局のFacebookページ(www.facebook.com/tourismsrilanka.gov.lk)ならびにYouTubeページ(www.youtube.com/c/srilankatravelvideo )にてオンライン生配信されます。

各日の開始時刻は下記のとおりです。
各儀式の開始時刻の吉兆時間(Auspicious timeは、毎年ホロスコープによって)が決められます(SSTはスリランカ時間)
ペラヘラのスケジュール表を見てわかるとおり、大きく分けると5つのパートに分けられます。一般的に『ペラヘラ祭り』として主に鑑賞されるのはクンバルペラヘラランドーリペラヘラです。
1.『Kap』の儀式
2.クンバルペラヘラ(5日間)
3.ランドーリペラヘラ(5日間)
4.『水切り』の儀式
5.デイペラヘラ
それぞれについて、下記より簡単に説明します。

その前に、『キャンディエサラペラヘラ』について。
エサラ月の満月日のことを指します。ペラヘラは「行列」を意味しています。

キャンディエサラペラヘラは、毎年エサラ月の新月の5日後から10日間にわたり、スリランカ中部州キャンディで行われる祭りで、仏歯寺(Temple of the Sacred Tooth Relic/シンハラ名での呼び名はDalada Maligawa)にある仏陀の遺物(犬歯)に敬意を表して開催されます。ペラヘラの最終日はニキニポヤデー(満月日)となります。

キャンディのエサラペラヘラは、エサラペラヘラ(Esala Perahera)ダラダペラヘラと(Dalada Perahera)いう2つのペラヘラが融合したものだと考えられています。

エサラペラヘラの歴史は紀元前3世紀にさかのぼると考えられており、仏教の四神(ナータ神、ヴィシュヌ神、カタラガマ神、パッティニ神)を崇拝し雨乞いの神を呼び出す儀式として行われていました。
一方のダラダペラヘラは、4世紀に仏陀の遺物(犬歯)がインドからスリランカに持ち込まれたときに始まったと考えられています。

2つが融合したペラヘラ(キャンディエサラペラヘラ)は、キャンディ王朝のラジャシンハ王(1747~1781年)の時代に始まったといわれています。
この時代、仏歯は王の私物とされており、一般の人が拝む機会はありませんでした。
しかしラジャシンハ王は、大衆にも仏歯を見せて信仰心を高める機会を作るために、仏歯をペラヘラで披露することを命じたといわれています。
1815年にキャンディ王朝が滅亡した後、仏歯の保管はマハ・サンガ(仏教聖職者)に引き継がれました。そして現在も仏歯寺に安置されています。

1.『Kap』の儀式(Kap Kapeema & Kap Situveema)
Kapa(Kapiya)とは南インドで呼ばれるジャックフルーツの別名です。

8/8の早朝4:10にジャックツリーの若木(Artocarpus integrifolia)が銀の斧で切りだされ(Kap Kapeema)、タスカ―(牙を持った雄象)によりキャンディ郊外のAluthnuwara Dedimunda Devalaに運ばれました。※日時は2021年の場合です。
写真はSri Dalada Maligawa公式ページより
そののち午後3:10に、Natha神、Vishnu神、Kataragama神、Pattini神が祀られた4つのデーワーレ(神殿)下記地図参照)に分配されました。※日時は2021年の場合です。
これらの若木は8/9の1:09にそれぞれのデーワーレの敷地に奉納されます(Kap Situveema)。この儀式により四神(ナータ神、ヴィシュヌ神、カタラガマ神、パッティニ神)の祝福を呼び起こすものとされています。
写真はSri Dalada Maligawa公式ページより
4か所のデーワーレ

2.クンバルペラヘラ(Kumbal Perahera)
ペラヘラの最初の5日間をクンバル(Kumbal)ペラヘラといいます。
Kapの儀式の6日後に始まります。
悪霊や悪意を追い払うために行われるとされるこのペラヘラは、ランドーリよりも規模が小さいと説明されますが、行列の規模のみならず仏歯の管理者で行事の最高責任者とされるニラメが参列しないほか、仏歯を運ぶ牙を持った雄象(タスカー)も、クンバルペラヘラでは儀礼的な衣装を着けずに参加するなど、ランドーリペラヘラと多くの異なる点があります。  

3.ランドーリペラヘラ(Randoli  perahera)
残りの5日間をランドーリ(Randoli)ペラヘラといいます。
「ランドーリ」とは王妃が乗ってきた駕籠のことを指します。
王のいた時代は、王様の主席王妃が駕籠に乗って行列に参列していたそうですが、仏教行事としての色合いが濃くなっていくにつれて、王妃の参加は聖遺物の行列にふさわしくないとされ女王の参列は無くなったものの、王妃の名誉を残すため行列の最後尾に駕籠のみを担ぐようになったとされています。
それぞれ後半に行くほど隊列が増え盛大になります。

4つのデーワーレ(上のマップ参照)の敷地内でそれぞれデーワーレペラヘラ(Devale Perahera)が行われます。
1つ目の行列は、Natha神を祀ったナータ寺院(Natha Devalaya)(14世紀に遡るキャンディで最も古い建物のデーワーレ)から。

2つ目の行列は、Vishnu神を祀ったウィシュヌ寺院(Vishnu Devalaya(Maha Devaleとしても知られています)から。

3つ目の行列はKataragama神(戦士の神Skandaと同一視される)を祀ったカタラガマ寺院(Kataragama Devalaya)から始まります。
この行列にはクジャクの羽をちりばめた半円形の木製の仕掛けを肩に担いで踊る(Kavadi)の隊列が含まれてるのが特徴です。

4つ目の隊列は、伝染病の治療に関連する女神で干ばつや飢饉の時に奉られるPattiniを祀ったパッティニ寺院(Pattini Devalaya)からスタートします。
4つのデーワーレからの行列のうち、女性の踊り手がいるのはこの行列だけです。

デーワーレペラヘラは仏歯寺に向かい、仏歯寺をスタートする仏陀の犬歯を納めた容器を載せたタスカ―(牙のある雄象)やダンサーなどのダラダペラヘラと合流します。

ペラヘラの隊列は通常、ペラヘラの開始を知らせる鞭打ち隊(Kasa-karuwan)が先頭となり、火の玉のアクロバット隊(Gini-karuwan)が続きます。
ペラヘラは雨乞いの儀式でもあり、鞭の音は雷鳴火の玉は雷光太鼓は雨音を表しているとされています。この2つの隊は祭りの開始や道を確保する役割があります。

続いて国旗を持った旗手を先頭に仏旗や各州の旗などを持った旗手の隊列(Kodi-karuwan)が登場します。それに続いて、楽器隊(Hevishi pela)の登場となっていきます。

一番最初の象に乗ってやって来るのはPeramune Rala(ぺラムネラーラ)呼ばれる役人で、ヤシの葉に儀式の38の決まり事を書いたものを手にしています(下記写真参照)。
写真はスリランカ政府観光局(Sri Lanka Tourism)のペラヘラ生配信をスクリーンショットしたもの

それ以降も電飾や装飾が施された象や太鼓やラッパなどのミュージシャン、ダンサー、旗手のグループが続きます

白装束(仏教参拝におけるの正装)を着た歌い手の隊列は、仏歯を安置した黄金の容器を運ぶタスカ―(牙のある雄象)の到着を告げる役割を果たしています。
仏歯を運ぶタスカ―は神聖なものとされ、歩く前には白い布が敷かれます。
その後も様々なダンサーが続きます。

4.水切りの儀式(Diya Kapeema)
ランドーリペラヘラ最終日の翌日(11日目)には『Diya Kapeema』と呼ばれる水切りの儀式が行われます。

ランドーリペラヘラの最終日に、行列の一部(4つのデーワーレの隊列が中心)と上記の4つのデーワーレの祠を担当するカプララ(Kapurala)がそのまま(夜通し)キャンデ郊外のゲタンベ(Getambe)のマハウェリ川に進み日の出を待ちます。

日の出とともにカプララが川の中に入ります。カプララの一人が黄金の剣の先で水の中に円を描くのを合図として、前年に同じ場所で水を入れた黄金の水差し(Ran kendiya)の水を川に流します。

剣で水を切り分け、空にした黄金の水差しにマハウェリ川の水を汲みます。
新しく汲み上げられた水を入れた黄金の水差しは翌年のキャンディエサラペラヘラまで仏歯寺で保管されます。
水切りの儀式で集められた水は神聖なものであり、この水には魔除けの効果があると考えられています。
そのため、観衆の一部は水切りの儀式が行われる下流に入水し、流された聖水を体に触れさせる行為が見られます。

5.デイペラヘラ(Day Perahera)
水きりの儀式を記念して、キャンディエサラペラヘラの幕引きとなる「ディペラヘラ(Day Perahera)が開催されます。
水切りの儀式に参加した隊列が、キャンディに向かって戻るペラヘラを「デイペラヘラ」といいます。

キャンディに戻り、マーリガワペラヘラと合流した隊列は、D.S.セナナヤケ通りとラジャ通りを3回まわり、仏歯寺に戻ったのちそれぞれのデーワーレからスタートした隊列はそれぞれのデーワーレに戻って解散し、年に一度のキャンディエサラペラヘラは終了となります。
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Covid-19の前までは、例年キャンディエサラペラヘラを鑑賞するために国内外から多くの人が訪れる催しで、昨年に続きオンラインとなったことで、全世界から各日のペラヘラの様子を見ることができます。

中継では詳細な解説(昨年はシンハラ語と英語)が入りますが、事前にどのような催しなのか知っておくとより中継が楽しめるかと思います。




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