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スリランカ仏教寺院の参拝方法とマナー完全ガイド(服装・靴・献花・線香・お経の意味)

スリランカは人口の約7割が仏教徒を占める仏教国とされていますが、実際に訪れてみると仏教寺院だけでなく、キリスト教会、ヒンドゥー寺院、モスクなど多様な宗教施設が各地に見られ、単一宗教国家ではないことを実感できます(地域によって信仰割合には偏りがあります)。

それでも観光ルートで多く訪れるのは、やはり仏教寺院です。
スリランカで主に信仰されているのは上座部仏教(テーラワーダ/ථේරවාද)です。

世界遺産であるアヌラーダプラ、ダンブッラ石窟寺院、ポロンナルワ遺跡群、キャンディの仏歯寺などは仏教の聖地であり、特にアヌラーダプラや仏歯寺は現在でも仏教徒にとって極めて重要な巡礼地となっています。

ガイドブックには「露出の少ない服装(白が望ましい)」「仏像に背を向けない」「写真撮影時は仏像に正対しない」などの注意が記載されていますが、ここではスリランカの仏教徒の参拝作法について紹介します。

参拝服

仏教寺院の参拝や儀式では白い服が正装とされています。白は清浄と静寂の象徴です。

男女ともに肩と膝を覆う服装が基本で、ノースリーブやタンクトップ、ショートパンツは避けるのが一般的です。体のラインが強調される服装も望ましくありません。

観光客は必ず白である必要はありませんが、肌の露出は避ける必要があります。寺院によっては入場を断られる場合もあります(スカーフなどで覆えば入場可能な場合もあります)。
↑ローカルの仏教徒も多く訪れるアヌラーダプラ

寺院に入る際は靴を脱ぐ必要があります。
仏歯寺やアヌラーダプラ、ダンブッラ石窟寺院などでは靴預かり所がありますが、小規模寺院では入口で脱ぐだけの場合もあります。紛失防止のため靴袋を持参すると安心です。

靴下は着用したままで問題ありません。遺跡では地面が高温になることもあり、靴下は熱対策にもなります。ただし汚れる可能性があるため、替えの靴下を持参するのも有効です。

花・オイル(オイル芯)・線香

寺院では花・オイル・線香が主な供物として用いられます。もちろん何も持たずに参拝する人も多くいますし、線香やオイルは特別な参拝の時のみ持って行く人もいます。
これ以外にも供物としての食べ物や寺院への寄進物を持って行く人もいます。

花(献花):最も一般的な供物です。花は「悟り」の象徴とされます。
太陽の光を浴びて開花する花は、仏陀が悟りを開いたことになぞらえられており、花は悟りを開いた仏陀への供物として非常にふさわしいとされています。

代表的なのはソケイ(ジャスミン/学名 Jasminum grandiflorum、シンハラ語:サマンピッチャ/සමන් පිච්ච )。家庭でも仏像に日々供えられます。多くの家庭で庭木として植えられていて、仏教徒の家庭は、朝と夕方に摘んで家に安置されている仏像にお供えして祈りを捧げます。道路に面して生えている場合は、登校時の学生が学校にある仏像にお供えするために摘んでいる姿も見受けられます。
↑ソケイ。毎日摘んでも翌朝には多くの花を咲かせます。
↑プルメリア(シンハラ語でアラリヤ/අරලිය)、ホウガンボク(シンハラ語でサルマル/සල් මල්)、チョウマメ(シンハラ語でニル カタロル/නිල් කටරොළු)
アヌラーダプラや仏歯寺などの多くの参拝客が訪れる場所では、献花用の花も販売されています。
花を摘む際に注意が必要なのは、落ちた花は献花に用いないということ。また、献花に用いる花の香りを嗅いではいけないということです。香りも仏陀への捧げもののため、捧げる前に匂いを嗅ぐ行為は不敬とされています。

オイル(献灯):灯明の光は心の闇を照らすと言われます。暗闇は「無知」を表すとされ、仏陀は無知の闇を払いのける教え(八正道)を説いたとされているため、灯りは智慧と慈悲の象徴とされます。スリランカの献灯はほぼココナツオイルの油灯となります。ほとんどの寺院の菩提樹の周りには、ランプを置く台やランプスタンドがあります。

線香(献香):線香は燃えると芳香を放ち、非常に清らかな炎を持つとされています。そしてその煙が身を清めるとされています。
寺院に着いたらまず寺院にある献灯台で空いている素焼きの器にココナツオイルを注ぎいれ芯を浸して火をつけます(献灯)。
次に、オイルランプの火で線香に火をつけ、手で火を消してから線香を手に仏塔を右回りに周回して線香鉢に献香します。仏殿に献香できるところもありますが、多くは屋外のみとしています。
花は寺院にある流し台で水をかけ清めます。花が大量にある場合は花かごに移し、花や仏像や仏塔の前にある祭壇に並べて(献花)から経を唱えながら拝みます。
↑花を置くための花かごや、菩提樹に水を注ぐための水鉢

参拝順序

スリランカの仏教寺院には基本的に「仏塔・菩提樹・仏殿」があります。
↑仏塔
↑菩提樹
↑仏殿
参拝順は一般的に「仏塔 → 菩提樹 → 仏殿」とされます。これは仏陀との関係性の近さに基づく考え方です。
仏塔は仏舎利を納めるもので仏陀そのもの、菩提樹は悟りを開いた場所、仏像はその姿を象ったものとされます。

菩提樹と仏塔を周回するときは、右回り(三周)とされています。
崇拝の対象(仏塔、菩提樹)を常に右側に置くことで、敬意を表すとされています。
菩提樹の参拝は、水を入れた水鉢をもち、祈りを捧げながら三回周回し、その時々で菩提樹の根元に水を注ぎます(菩提樹が枠で囲われている場合も水を灌ぐ穴がも置けられています)。

お経

仏殿などで手を合わせる際の大きな決まりはないようですが、参拝時の基本的な所作としては、供物台に手を触れた後、額・口元・顎の順に手を合わせる動作が見られます。
その際に声に出しての経は唱えませんが、人によっては心内で経を唱えています。
お経はパーリー語のまま伝わっています。
仏教寺院の参拝の時のみならず、法要など僧侶を招いた仏教行事の際にも、僧侶の説法を聞く前に参加者がまずは経を唱えます。

まずはナマスカーラヤ(නමස්කාරය)と言われる仏陀に敬意を表す文言を三回唱えます。
ナモー・タッサ・バガワトー・アラハトー・サンマー・サンブッダッサ
ナモー・タッサ・バガワトー・アラハトー・サンマー・サンブッダッサ
ナモー・タッサ・バガワトー・アラハトー・サンマー・サンブッダッサ
※上記はシンハラ語読みをカタカナにしたもの
パーリー語の句で下記のような意味があるとされています。
真理を見つけ、すべての穢れから解放され、完全な悟りを開いた方(仏陀)に敬意を表します/私は祝福された方、崇高な方、完全に悟りを開いた方(仏陀)に敬意を表します」。

次に、仏教で三法と言われる「仏」「法」「僧」に帰依し奉るという内容の三帰依文(ティサラナ/තිසරණ)を唱えます。
ブッダン・サラナン・ガッチャーミ(自ら仏に帰依し奉る。まさに願わくは衆生とともに、大道を体解して、無上意を発さん)
ダンマン・サラナン・ガッチャーミ(自ら法に帰依し奉る。まさに願わくは衆生とともに、深く経蔵に入りて、智慧海のごとくならん)
サンガン・サラナン・ガッチャーミ(自ら僧に帰依し奉る。まさに願わくは衆生とともに、大衆を統理して、一切無碍ならん)
ドゥティヤンピ・ブッダン・サラナン・ガッチャーミ(二たび自ら仏に帰依し奉る。まさに願わくは衆生とともに、大道を体解して、無上意を発さん)
ドゥティヤンピ・ダンマン・サラナン・ガッチャーミ(二たび自ら法に帰依し奉る。まさに願わくは衆生とともに、深く経蔵に入りて、智慧海のごとくならん)
ドゥティヤンピ・サンガン・サラナン・ガッチャーミ(二たび自ら僧に帰依し奉る。まさに願わくは衆生とともに、大衆を統理して、一切無碍ならん)
タティヤンピ・ブッダン・サラナン・ガッチャーミ(三度自ら仏に帰依し奉る。まさに願わくは衆生とともに、大道を体解して、無上意を発さん)
タティヤンピ・ダンマン・サラナン・ガッチャーミ(三度自ら法に帰依し奉る。まさに願わくは衆生とともに、深く経蔵に入りて、智慧海のごとくならん)
タティヤンピ・サンガン・サラナン・ガッチャーミ(三度自ら僧に帰依し奉る。まさに願わくは衆生とともに、大衆を統理して、一切無碍ならん)
※上記はシンハラ語読みをカタカナにしたもの
※上記の日本語訳は、🔗公益財団法人全日本仏教会に掲載の訳の転載に、二度・三度の文言をを追記
三帰依文に続くのは五戒(パンシル/පන්සිල්)
1. パーナーティパーナー・ウェーラマニ・シッカーパダン・サマーディヤーミ
2. アディンナーダナー・ウェーラマニ・シッカーパダン・サマーディヤーミ
3. カーメースー・ミッチャチャラー・ウェーラマニ・シッカーパダン・サマーディヤーミ
4. ムサーワーダー・ウェーラマニ・シッカーパダン・サマーディヤーミ
5. スラーメーラヤ・マッジャパマダッタナー・ウェーラマニ・シッカーパダン・サマーディヤー
※上記はシンハラ語読みをカタカナにしたもの
上記のパンシルは五戒(不殺生戒/不偸盗戒/不邪淫戒/不妄語戒/不飲酒戒)の各戒律を守りますと唱えています。
その他にも八戒、十戒など、多くの経があります。

仏教旗(仏旗)

仏教のシンボルとして掲げられる旗で「六色仏旗」とも呼ばれます。シンハラ語ではバウッダコディヤ(බෞද්ධ කොඩිය)と呼ばれます。
この仏旗(六色仏旗)はスリランカ発祥で、1885年にデザインされ、1950年に国際仏旗として採用されました。
悟りを開いた仏陀の体から6色の光が放たれたという言い伝えに基づいて、仏陀の光明を表したもので、左から青・黄・赤・白・橙色の5色の縦じまに加えて最後の縦じまには上から 青・黄・赤・白・橙色の5色が配置されています。最後の5色の縦じまは「輝き」を表しているとされます。


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