ユネスコの政府間委員会が12/11にインドで開かれ、スリランカの「キトゥルの樹液採取(キトゥル マディーマ-別名キトゥル カピーマ)」が、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。
ユネスコ無形文化遺産への登録は「ルーカダ ナータャ/人形劇(2018年)」「ドゥンバラ織(2021年)」続いてスリランカで3件目です。
▶登録リスト:🔗Kithul Madeema/Kithul Kapeema, an ancient indigenous technology for tapping Kithul in Sri Lanka
キトゥル(කිතුල්)は、スリランカやインド、ミャンマー、マレーシアに自生するヤシ科の植物で、和名ではクジャクヤシ(学名:Caryota urens)と呼ばれます。
スリランカでは主に中央州、サバラガムワ州、ウバ州にかけての湿潤地帯に自生しています。
スリランカでは、花序から抽出される蜜を煮詰めてシロップ(කිතුල් පැණි/キトゥルペニ)や固めてヤシ糖(හකුරු/ハクル)にしたり、発酵させて酢や、蒸留させてアラック※が作られています。(※スリランカでアラックといえばココヤシから作られるのが主流ですが、クジャクヤシから作られるアラックもあります)
また幹には多量のデンプンが含まれており、抽出でんぷんを粉末にしたものはキトゥル粉として、ういろうに似たお菓子や粥などに使用されるほか、蜜の採取が出来なくなった木は建築材料や家具に使用されるなど、スリランカの食や生活にとても根付いている植物です。
クジャクヤシは15~20メートルほど生長し、花は幹が生長しきったころに咲き、順次花序が出て下に向かって開花ならびに結実します。蜜の採取ができるまでには約8~12年かかります。
花蜜の採取にはその木を登らなくてはなりません。花蜜の採取方法はスリランカ独自のものとされており、蜜の採取者は世襲で、先祖から受け継がれた技術や伝統を守ってきました。
蜜を採取する壺とナイフを腰に付けた採取者がクジャクヤシに縛り付けた梯子を登っていきます。
世代から世代へと受け継がれる文化として、衰退や消滅から守り未来へ伝えていく目的で今回無形文化遺産に選出されました。
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