スリランカ旅行で、到着日に多くの方が宿泊するのがニゴンボ※(Negombo)です。
※日本では「ネゴンボ」と表記されることもあります。
ニゴンボは、バンダラナイケ国際空港に近いビーチリゾート地。空港到着後の宿泊地として便利なことから、多くの旅行者に利用されています。
また、スリランカを代表する建築家ジェフリー・バワの建築を巡る旅行で、ニゴンボに宿泊する方も多いのではないでしょうか。
ニゴンボには、バワが設計を手がけたホテルが2か所あります。
それが、ジェットウィング・ラグーン・ウェルネス(Jetwing Lagoon Wellness)と、ジェットウィング・ビーチ(Jetwing Beach)です。
どちらもバワ建築を代表するホテルですが、同じエリアに2つあるだけに「どちらに泊ろうかな?」と迷う方も多いかと思います。
そこで今回は、それぞれのホテルの特徴や、バワ建築としての見どころについて紹介したいと思います。
まず、ラグーンもビーチもバワが設計を手がけたホテルですが、その後、大規模な改装や増築が行われています。そのため、バワが設計した当初のオリジナル部分が残っている箇所は限られています。
この2つのホテルの改装・増築を手がけたのは、バワの弟子の一人としても知られる建築家ヴィノド・ジャヤシンへ(Vinod Jayasinghe)です。
そのため、増改築された部分にも、バワの設計思想や建築コンセプトが受け継がれています。
ニゴンボにあるジェフリー・バワ設計のホテルは2軒
1.ジェットウィング・ラグーン・ウェルネス
↑上記画像は🔗Jetwing Lagoon Wellness公式ページより転載このホテルは、バワが最初に設計を手がけたホテルとして知られています。
オリジナルは、1965年に「ブルー・ラグーン・ホテル(Blue Lagoon Hotel)」としてオープンしました。
バワにとって初めてのホテル建築であり、スリランカ初の近代的なリゾートホテルとしても知られています。
ホテルは長期間閉鎖されていましたが、2009年にJetwing社の所有となり、ヴィノド・ジャヤシンへによる大規模な改装と増築を経て、2012年に「ジェットウィング・ラグーン」として再オープンしました。
その後、2024年から約1年間によるリノベーションを経て、本格的なアーユルヴェーダを受けられる「ジェットウィング・ラグーン・ウェルネス」として、2025年にリニューアルオープンしています。
2.ジェットウィング・ビーチ
↑上記画像は🔗Jetwing Beach公式ページより転載このホテルは、バワが設計を手がけ、1987年に「ロイヤル・オーシャニック・ホテル(Royal Oceanic Hotel)」としてオープンしました。
こちらもヴィノド・ジャヤシンへによる改装・改築を経て、2005年に「ジェットウィング・ビーチ」として再オープンしています。
バワ建築の見どころ|オリジナル部分はどこに残っている?
ジェットウィング・ラグーンに残るバワオリジナル
現在もバワが設計したオリジナルを残しているのは、Luxury Room with Terraceの客室外観、Garden Suite、給水塔、旧車寄せ、旧レセプションなどです。
↑バワが設計した当初の面影を残している旧車寄せと旧レセプション入り口
↑バワが設計したオリジナルを残している旧車寄せ
↑↑バワが設計したオリジナルを残している旧レセプションエリア(上記画像3枚)↑上記画像2枚は、バワが設計したオリジナルを残している給水塔
バワの設計当初は、スリランカの伝統的なレストハウスにも見られる赤瓦屋根の平屋建てが特徴でした。
当時のメインレセプション棟はラグーンの側に配置され、ラグーンと海の間には、複数のヴィラが並んでいました(現在のLuxury Room with Terrace)。
↑バワが設計した当初の面影を残しているLuxury Room with Terraceその後、観光需要の高まりとともに客室数を増やすことになり、ジェットウィング・ラグーンへの大規模な改装・増築が行われました。
改装を手がけたジャヤシンへは、新たなレセプションを設けるとともに客室を増築しました。
また、ラグーンと海の間に配置されていた既存のヴィラ群(現在のLuxury Room with Terrace)の間は、元はココナツが生えていましたが、全長100メートルのプールが新たに設けられました。
↑100メートルプールの先に見えるのは、バワ設計オリジナルの旧レセプション新しい試みを取り入れながらも、まるで設計当初からそこにあったかのように新旧の建築が融合しているのが、このホテルの大きな魅力です。
個人的には、どこまでがバワのオリジナルで、どこからが増改築された部分なのか、最も判別しづらいホテルのひとつだと感じています。
ジェットウィング・ビーチに残るバワオリジナル
バワ設計当初のオリジナルが残っているのは、エントランスとレストラン脇にある半屋外のプールなどです。
間口を狭くした空間から階段を上り、その先に景観を見せるというバワの手法は、Bentota Beach Hotel、The Last Houseなど、バワが手がけたほかの建築にも見られる特徴です。
景観性を備えたこのプールは、建物の内部に水面を取り込むことで、強い日差しを和らげ、日陰をつくるという機能性も備えています。
改装を担当したジャヤシンへは、バワの原型を尊重しながら、客室を広くしたり、ダイニングスペースを変更したりするなど、現代のホテルとして必要な機能を加えました。
また、改装時にはロビーの屋根が延長され、風の強い雨の日にレセプションエリアへ雨が吹き込む問題も改善されたといいます。
ちなみに、レセプションエリアの浸水について、「ゲストはスリランカのモンスーンも体験すべきだ」と、バワはあまり気に留めていなかったというエピソードも残されています。
空港からの距離とホテル周辺の便利さを比較
ジェットウィング・ラグーン・ウェルネス
バンダラナイケ国際空港から約16km、車で約20分の場所にあります。コロンボから約35kmの場所にあります。
ホテル周辺には飲食店などがほとんどないため、食事も含めてホテル内でゆっくり過ごしたい方におすすめです。
↑左側はインド洋、右側はラグーン。
ホテルはニゴンボ・ラグーンとインド洋の間に位置しており、ラグーン側と海側の両方を楽しめるロケーションも魅力です。
ただし、ホテルはビーチフロントではなく、海へ行くにはホテル前の車道を渡り数十メートル歩く必要があります。
なお、海側にもプールがありそちらも利用可能ですが、このプールに行くにも道路を横断する必要があります。
↑海側にあるプール。
ビーチを眺めながらホテルで過ごしたい方や、気軽に海へアクセスしたい方は、この点を考慮しておくとよいでしょう。
ジェットウィング・ビーチ
バンダラナイケ国際空港から約12km、車で約20分の場所にあります。コロンボからは約43kmです。
ビーチフロントに建つホテルで、ホテルからそのままビーチへアクセスできます。
周辺にはホテルや飲食店、お土産店などが立ち並んでいるため、ホテルの外を散策したり、レストランで食事をしたり、ショッピングを楽しんだりしたい方にも便利です。
ホテル内で静かに過ごしたいならラグーン、周辺散策やビーチエリアのにぎわいも楽しみたいならビーチ、といった選び方がおすすめです。
客室数と客室の特徴を比較
ジェットウィング・ラグーン・ウェルネス
現在の客室カテゴリーは、下記の4タイプ
| 客室タイプ | 室数 |
|---|---|
| Luxury Room | 28室 |
| Luxury Room with Terrace ※バワ | 22室 |
| Lagoon Suite | 4室 |
| Garden Suite ※バワ | 1室 |
| 合計 | 55室 |
ジェットウィング・ラグーン・ウェルネスの客室は、バワ建築らしい開放感のある空間が特徴です。
ボトムカテゴリーのLuxury Roomは約63㎡あり、そのうちバスルームが何と27.7㎡も占めています。客室にはセミオープンタイプのバスルームが取り入れられており、ゆったりとした空間づくりが魅力です。
↑ベッドのヘッドボードはデスクになっています。
↑セミオープンタイプのバスルーム。
全体的にアースカラーを基調とした落ち着いたインテリアで統一されており、落ち着いた雰囲気を好む方向きのホテルです。
また、Luxury Room with Terraceは、リニューアル前には「Bawa Room」と呼ばれており、バワが設計した当初の建物を活用した客室とされています。
↑バワが設計した当初の面影を残しているLuxury Room with Terrace
独立した建物であるGarden Suiteは、リニューアル前には「Bawa Suite」と呼ばれており、バワオリジナルの建物です。
↑バワが設計したオリジナルを残しているGarden Suite外観(撮影時の客室名はBAWA Suite)
↑上記3枚は、バワが設計したオリジナルを残しているGarden Suiteの1階シッティングエリア部分(撮影時の客室名はBAWA Suite)
↑Garden Suite(上記画像2枚は🔗Jetwing Lagoon Wellness公式ページより転載)ただし、他の客室についても、ジャヤシンへによる改装・増築の際にバワの設計思想が受け継がれているため、ホテル全体として統一感のある空間となっています。
ジェットウィング・ビーチ
客室カテゴリーは、下記の2タイプ。
| 客室タイプ | 室数 |
|---|---|
| Deluxe Room | 75室 |
| Suite | 3室 |
| 合計 | 78室 |
ジェットウィング・ビーチの客室は、全室がインド洋側に面したつくりとなっています。
客室は広く、Deluxe Roomのベッドルームは46㎡。バスルームやテラスを含めると、総面積は66.5㎡にもなります。プライベートバルコニーまたはテラスを備えているのも特徴です。
↑Deluxe Room(上記画像2枚は🔗Jetwing Beach公式ページより転載)海を眺めながら過ごせるのが、ジェットウィング・ビーチの大きな魅力です。ただし、ヤシの木などによって視界が遮られ、直接ビーチが見えにくい部屋もあります。
ホテル全体は白を基調に、黄土色や茶系のアースカラーが取り入れられており、ラグーン同様、シックで落ち着いた雰囲気の客室です。
ジェットウィング・ラグーンとビーチはどちらに泊まる?
バワ建築をよりじっくり楽しみたい方や、ラグーンの静かな環境で過ごしたい方には、ジェットウィング・ラグーン・ウェルネスがおすすめです。
↑水面穏やかなラグーン側の景色。ラグーンの反対側は空港なので、飛行機や夜には誘導灯などを眺めることが出来ます。
また、アーユルヴェーダやヨガ、スパなどのウェルネスプログラムを体験したい方にも、ラグーンが向いています。
一方、ホテルの外を散歩したり、周辺のレストランで食事をしたりしたい方には、ジェットウィング・ビーチがおすすめです。何より、ビーチフロントホテルなので、南国らしい景色やビーチを楽しみたい方にもビーチがお勧めです。
↑ホテル前のビーチの景色。ニゴンボのある西海岸ビーチシーズン(11~4月頃)は青い空に澄んだインド洋がホテルの目の前に広がります。
↑天気が良ければ、インド洋に沈む夕陽をホテルから眺めることが出来ます。ニゴンボのにぎやかなビーチエリアに近いため、ホテルでの滞在だけでなく、周辺の散策や食事も楽しみやすいでしょう。
どちらもバワ建築の魅力を感じられるホテルですが、静かな環境でホテル滞在を楽しむならラグーン、周辺散策やビーチでの時間も楽しみたいならビーチと、旅の目的や過ごし方に合わせて選ぶのがおすすめです。
ただ、ラグーンは全体の客室数が少ないうえ、バワ建築を目的とする旅行者だけでなく、アーユルヴェーダやヨガなどのウェルネスプログラムを目的とする宿泊客も多いため、ビーチよりも予約が埋まりやすい傾向があります。
ラグーンへの宿泊を希望する方は、できるだけ早めに予約することをおすすめします。
ジェットウィング・ラグーンとビーチの簡単比較
| 比較項目 | ジェットウィング・ラグーン・ウェルネス | ジェットウィング・ビーチ |
|---|---|---|
| バワ建築としての特徴 | ジェフリー・バワが最初に設計を手がけたホテル。1965年開業の「ブルーラグーンホテル」を起源とし、庭園やラグーンを取り込んだ自然と建築の一体感が特徴。 | ジェフリー・バワが設計を手がけ、1987年に「ロイヤルオーシャニックホテル」として開業。海辺の景観を取り込んだ設計と、バワらしいエントランスの構成が特徴。 |
| 空港からの距離 | 約16km | 約12km |
| 客室数 | 全55室 | 全78室 |
| 周辺環境 | 周辺に飲食店などが少なく、ホテルで静かに過ごしたい方におすすめ。 | ホテルやレストラン、お土産店が集まるエリアにあり、周辺散策や外食にも便利。 |
| ビーチへのアクセス | ラグーンと海の間に位置し、海へは道路を渡ってアクセス。 | ビーチフロントホテルで、ホテルから直接ビーチへアクセス可能。 |
| ウェルネス・アーユルヴェーダ | アーユルヴェーダ、ヨガ、スパなどのウェルネスプログラムが充実。 | ウェルネスを目的とした滞在より、ビーチリゾートとしての滞在に向いている。スパがあり、アーユルヴェーダを取り入れたメニューもある。 |
| おすすめの旅行スタイル | バワ建築をじっくり楽しみたい方、ホテルで静かに過ごしたい方、ウェルネス体験をしたい方。 | 周辺散策やレストランでの食事、ビーチでの時間も楽しみたい方。 |
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ジェフリー・バワ関連書籍
熱帯建築家 ジェフリー・バワの冒険 (とんぼの本)
多くのバワホテルを知りたい方におすすめ
迷宮ホテル 異国の路地と宿の物語を彷徨い歩く
写真でバワ建築を楽しみたい方におすすめ
ジェフリーバワ全仕事
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In Search of Bawa: Master Architect of Sri Lanka
バワ建築巡礼の参考書を探している方におすすめ
ブライトン大学で建築を教え、ジェフリー・バワとも親交のあった建築史家デイヴィッド・ロブソン(David Robson)による一冊です。59件のバワ建築について、美しい写真とともに建築の特徴や歴史、所在地、保存状況まで詳しく解説しています。
洋書ではありますが、作品ごとに整理されているため読みやすく、バワ建築を実際に巡りたい方にも役立つ内容です。個人的には、現在刊行されているバワ関連書籍の中で最もおすすめしたい一冊です。
59件のバワ建築について、美しい写真とともに建築の特徴や歴史、所在地、保存状況まで詳しく解説しています。
個人的には、現在刊行されているバワ関連書籍の中で最もおすすめしたい一冊です。
Geoffrey Bawa 33rd Lane1960-98/Lunuganga1948-98―世界現代住宅全集7
バワの建築思想や美意識に触れたい方におすすめ
建築家の自宅には、その人の美意識や建築思想、暮らしの哲学が凝縮されています。バワの自邸「33rd Lane(Number11)」と、40年をかけて育て上げた理想郷ルヌガンガ。この2か所を知ることで、バワ建築の原点と、その世界観をより深く理解できる一冊です。
バワの自邸「33rd Lane(Number11)」と、40年をかけて育て上げた理想郷ルヌガンガ。この2か所を知ることで、バワ建築の原点と、その世界観をより深く理解できる一冊です。



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