世界遺産・ゴール旧市街(ゴールフォート)とは
ポルトガル・オランダ・イギリス統治が築いた要塞都市
1640年にゴール港とゴールフォートがオランダの支配下に入ると、防衛力を強化するために城壁を拡張し、サンゴ石や花崗岩を用いて14の堡塁(Bastion)と要塞を築きました。また、1660年代にかけてフォート内部は碁盤の目状に整備されました。
18世紀末の1796年にはイギリスの支配下となり、住居や灯台の建設など多くの建築・改築が行われました。第二次世界大戦中には、防衛施設の増強も行われました。世界遺産「ゴール旧市街とその要塞群」の魅力
このようにゴールは各国による統治の歴史をたどり、それぞれの時代に建てられた建物が今も数多く残されています。「ヨーロッパ建築と南アジアの伝統が融合した要塞都市」として、他に類を見ない独特の景観を形成しています。また、仏教寺院やモスク、さらにスリランカでは比較的珍しいプロテスタント教会など、さまざまな宗教施設が小さな旧市街の中に共存していることも、この街の多様性を物語っています。↑仏教寺院の仏塔の後ろに見えるカトリック教会
ゴール旧市街(ゴールフォート)の歴史的建造物マップ
この記事で紹介する見どころ(1~16)
この記事では、下記の1~16の建造物や観光名所をご紹介します。関連記事(17~37・38~60)
ゴール旧市街の歴史的建造物①~⑧
1.オールドゲート/オランダ門(Old Entrance)-1669年
旧用途)倉庫と英国オフィス(Old Dutch Warehouse & British Office Complex)
門の両側には倉庫へ続く扉や階段があり、17世紀にはシナモンなどの交易品を保管するVOCの倉庫として利用されていました。
この建物が倉庫として使用された正確な期間は不明ですが、壁面には1671年、1672年、1676年を示す石板が残されており、建設過程を示すものと考えられています。
足元には英国君主の標語「Dieu et mon droit(神と我が権利)」、盾の周囲にはガーター勲章の標語「Honi soit qui mal y pense(悪意を抱く者に災いあれ)」が刻まれています。
また、建物上部に設けられた窓や内部構造からも、かつて倉庫として利用されていたことを確認できます。
英国統治時代には、行政施設としての利用に伴い改修が行われ、現在見られる内部のアーチや石柱などには、後世の変更の跡を見ることができます。
2.海洋考古学博物館(Maritime Archaeology Museum) と海洋博物館(Maritime Museum)
旧用途) オランダ統治時代の倉庫・英国統治時代の行政施設(Old Dutch Warehouse & British Office Complex)
VOCの管理下で建設されたこの倉庫には、シナモンや胡椒など、船積みに向けた交易品が保管されていました。
海洋博物館は1992年5月に開館した博物館です。2004年12月のインド洋大津波によって大きな被害を受けましたが、修復後2009年5月に再開されました。館内では、微小な海洋生物からシロナガスクジラなどの大型生物まで、スリランカ周辺の海洋生態系や海洋環境について紹介しています。
3.副警視総監オフィス(Office of Deputy Inspector General of Police)
旧用途) ポルトガル時代の防衛施設跡、オランダ時代ズワルト要塞(Zwart Bastion / Black Fort)、英国時代警察署
ズワルト要塞(Black Fort)は、ゴール・フォートに残る堡塁の中でも最も古いものの一つとされ、港湾施設や倉庫、船着き場を守る役割を担っていました。
↑トンネルを抜けてトンネル側を振り返った構図。複数の砲台跡が残り、8基の砲台設置跡が確認されています。↑トンネル上部には砲台が設けられ、港を監視・防御する役割を果たしていました。
建物は、サンゴとレンガの石組みを石灰と砂を混ぜ合わせたモルタルで固めて作られています。各部屋の上部には円形の煙突状の換気孔が設けられています。
4.考古学局地方事務所(Regional office of the Department of Archaeology)
旧用途) オランダ倉庫番の家(Dutch Warehouse Keeper’s House)
建物は倉庫への出入口を監視できる位置に配置されており、正面から倉庫全体を見渡せるように建てられています。これは、交易品を管理するVOC時代の物流施設の一部として重要な役割を果たしていたことを示しています。
5.判事裁判所(Magistrate’s Court)
旧用途)マレー人兵舎(Old Malayan Soldier’s Barracks)
VOCはゴール要塞の防衛のため、マレー半島や東南アジア各地から兵士を集めており、マレー人兵士はゴールの防衛において重要な役割を担いました。
6.コートスクエア/野外劇場(Court Square Open Air Theater)
広場には、スリランカ伝統の休憩所・集会所である「アンバラマ(Ambalama)」が設けられています。アンバラマは、かつて旅人が休息したり、地域住民が情報交換や集会を行ったりする場所として利用されてきました。
7.地方裁判所・高等裁判所(District Court & High Court)-1927年
ゴール・フォート内にはオランダ時代の建築が多く残されていますが、この建物は英国植民地時代後期の公共建築を代表するものです。
8.船長官邸(Harbor Master’s Quarters)
旧用途) エケルスルート堡塁(Akersloot Bastion)/英国軍病院霊安室(Mortuary of the British Military Hospital)
ゴール要塞の防衛施設の一部として重要な役割を果たしていましたが、19世紀半ば、隣接するダッチホスピタルが英国軍病院として利用された際には、この建物は病院の霊安室(Mortuary)として使用されました。
9.ジャックフルーツの古木(Old Breadfruit Tree)
オランダ人により持ち込まれたと言われる、スリランカ最古級のジャックフルーツの木。ジャックフルーツはスリランカでは「コス(Kos)」と呼ばれる代表的な食材で、熟し具合によってさまざまな方法で利用されており、未熟な実は「ポロス」としてカレーなどの料理に使われ、完熟した果実は甘い果物として食べられています。
10.ダッチホスピタルショッピングコンプレックス(Old Dutch Hospital)
旧用途)オランダ時代の病院・英国時代の行政施設(Dutch Hospital Precinct & British Administrative Office)
当時は、ゴールに駐留するVOC職員や兵士、船員などの治療施設として利用されていました。厚い壁、高い天井、アーチ型の開口部など、熱帯の気候に適したオランダ植民地建築の特徴を見ることができます。
2014年には、歴史的建築を活用したショッピング&ダイニングコンプレックスとして再オープンし、現在はショップやレストランが入る人気スポットとなっています。
11.警察事務所(Police Offices)
旧用途)英国駐屯地図書館・船員食堂(Garrison Library & Seamen’s Canteen)
当時は、英国軍の駐屯兵のための図書館(Garrison Library)や、船員・海軍関係者が利用する食堂(Seamen’s Canteen)として使用されていました。
12.警察訓練校(Police Training College )
旧用途)」英国警察兵舎(British Police Barracks)-1927年
当時は英国植民地警察の宿舎(British Police Barracks)として使用され、ゴール・フォート内の治安維持を担う警察関係者の施設でした。
13.セイロン銀行地方オフィス(Bank of Ceylon Regional Office)
旧用途)エグリントンホテル(British Eglinton Hotel)
建物には、ヴィクトリア朝時代の英国植民地建築の特徴が残されており、アーチ型の開口部や装飾的な外観が印象的な建築です。
14.火薬庫(Dutch Gun Powder Storage)-1739年
ゴール要塞内に残る火薬庫の中でも珍しく、地下式ではなく地上に建てられた施設です。建設当時の姿を比較的よく残している貴重な軍事関連建築となっています。
火薬を保管する施設であったため、オランダ統治時代には安全確保のため周辺に住宅は建てられていませんでした。しかし、英国統治時代になると都市利用が進み、周辺にも建物が建設されたことで、火薬庫としての役割は終えました。
15.灯台(Lighthouse)-1938年
灯台は地上約6mの高さにある城壁(堡塁)の上、海抜約26.5mに設置されています。
ゴール旧市街を効率よく観光するポイント
地図を持って歴史的建造物を巡ろう
まとめ
ゴール旧市街(ゴールフォート)は、ポルトガル、オランダ、イギリスという3つの植民地時代の歴史が今も色濃く残る、スリランカ屈指の観光スポットです。城壁や要塞だけでなく、歴史的建造物を活用したホテルやレストラン、博物館、宗教施設などがコンパクトな旧市街に集まり、歩くだけでも世界遺産の魅力を存分に感じることができます。この記事では、ゴール旧市街の入口付近から巡る1~16番までの歴史的建造物を紹介しました。それぞれの建物には用途や建築様式だけでなく、植民地時代の統治の変遷や街の歴史が刻まれており、背景を知って歩くことで観光の楽しさも大きく変わります。
続編では、17~37番、38~60番の歴史的建造物や見どころを詳しく紹介しています。ゴール旧市街を隅々まで散策したい方は、ぜひあわせてご覧ください。
ゴールフォートは、昼間の歴史散策はもちろん、夕暮れ時の城壁から眺めるインド洋の景色や、ライトアップされたコロニアル建築も大きな魅力です。歴史、建築、街歩き、グルメを一度に楽しめる、スリランカ旅行ではぜひ時間をかけて訪れたい世界遺産のひとつです。
追記)🔗『コロンボから世界遺産ゴールまで 列車移動の落とし穴』
2024年11月追記)📝旅の準備に役立つ人気の旅行ガイドブックに最新版が出ています。
📝まだ手に入る‼スリランカを特集した雑誌
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