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【世界遺産】ゴール旧市街・歴史的建造物巡り(1~16)

スリランカ南部にある港町のゴールには、1988年に世界遺産に認定された要塞とその城壁内に形成された歴史地区が残っています(登録名『ゴール旧市街とその要塞群(Old Town of Galle and its Fortifications)』)。
元は14世紀にアラブ人の貿易地として発展していたこの港町は、16世紀の1505年ポルトガル人の探検家と商人が入植してゴールを支配下に置きました。1585年にキャンディ王朝と武力衝突したため城塞を築きました。ポルトガル人が築いた砦は主に土と桟橋でできていました。
17世紀の1640年にゴールの港とゴールフォートがオランダの支配下に入ると、防衛を強固にするためにゴールフォートを完全に包囲し、珊瑚や花崗岩でできた14の堡塁(Bastion)と要塞を築きました。1660年代にかけてゴールフォート内を碁盤の目状に整備しました。
堡塁(Bastion) 
18世紀末となる1796年にはイギリスの支配下となり、住居や灯台の建設など多くの建築ならびに改築が行われました。第二次世界大戦中には、さらに多くの要塞が建設されました。

このようにゴールは各国の統治の歴史をたどり、それぞれの年代に建設された建物が今も多く残り「ヨーロッパ建築と南アジアの伝統が融合した要塞都市」としてユニークな町となっています。
↑上記写真はスリランカ観光局(SLTPB:Sri Lanka Tourism Promotion Bureau)より転載
約52ヘクタールの要塞内に築かれた小さな町は、16世紀から19世紀にかけてのヨーロッパ建築やスリランカ(南アジア)の伝統建築が混雑した街並みとなっており、歴史的建物を利用してホテルやレストラン、ショップが立ち並び、異国情緒漂う街歩きが楽しい所です
仏教寺院にモスク、スリランカでは珍しいプロテスタント教会(スリランカの多くはカトリック教会)など、小さな空間に宗教施設も混雑しているのも、この街の多様性を示しています

ではさっそく歴史的建造物巡りを始めましょう。
ゴール旧市街へのゲートをくぐるとGalle Heritage Foundationが制作した旧市街のマップがあります。この地図に記載された番号に沿って建造物を紹介していきます。
この記事では、下記の1~16の建造物や観光名所をご紹介します。

別の記事では上記地図の17~37,38~60の建造物や観光名所をご紹介しています↓
(↑タイトルをクリックすると該当記事にリンクします)

1.オールドゲート/オランダ門(Old Entrance)-1669年
倉庫と英国オフィス(Old Dutch Warehouse & British Office Complex)
17世紀にオランダ人によって建てられた倉庫が併設されたこの門は、海外に向けて荷するシナモン、塩、胡椒などを保管する倉庫として使用されていました。 
19世紀半ばのイギリス統治時代に、小さな窓は取り除かれ、換気のための大きな窓が取り付けられて裁判所や土地登記所として使用されていました。
イギリス統治時代に取り替えられた窓は、1990年に行われた保存修復活動で再びオランダ時代の舷窓に交換されています。
↑門の両側には、1階の倉庫に入るための扉と倉庫2階に入るための階段があります。
この倉庫の正確な使用開始時期と終了時期は不明とされていますが、1671年、1672年、1676年と彫られた石板が所々に取り付けられているのが見らます。
正面(外側)には、イギリス国王(グレートブリテン及びアイルランド連合王国国王)ジョージ3世の時代に作られたイギリスの国章が刻まれたプレートが掲げられています。ゲートのアーチの部分にはオランダ東インド会社(VOC)の紋章が見えます。
※オランダ東インド会社(Vereenigde Oost Indische Compagnie:VOC):1602年にオランダで創設された世界最初の株式会社で、東洋貿易の独占していました。
周囲の石壁と比べてプレートが新しく見えますが、もとはオランダ東インド会社(VOC)の紋章があったところに、1796年にイギリスがゴールを支配して以降に、VOCの紋章を取り除いてイギリスの国章に入れ替えたと言われています。取り除いたVOCの紋章は内側につけられています。
イングランドを象徴するライオンとスコットランドを象徴するユニコーンが盾を抱いています。楯の上には王冠があり、その上に冠をかぶったライオンがいます。
楯には、イングランド王室紋章(三頭のライオン)、スコットランドの紋章(立ったライオン)、スコットランドの紋章(竪琴)が見て取れます。
足元にはイギリスの国章(紋章)に記される、イギリス君主の標語[Dieu et Mon Droit(神と我が権利)]と刻まれています。
ライオンとユニコーンが持つ楯の周囲には[Honi Soit QuiMal y Pense(悪意を抱く者に災いあれ)]という、ガーター勲章(1348年にエドワード3世によって創始されたイングランドの最高勲章)の標語(フランス語)が刻まれています。

砦内(旧市街)側には、花崗岩に彫られたオランダ東インド会社(VOC)の紋章が取り付けられています。この紋章は以前は入り口正面にあったものでしたが、イギリス植民地時代に砦内(内側)に付け替えられました。
VOC紋章の上には、オランダ統治時代のゴール戒律のシンボルであった岩の上に立つ雄鶏が描かれています。
倉庫としての役割を果たすこの門は、上部の窓からもうかがい知れます。
紋章には、2頭のライオンが後ろ足で立っている2頭のライオンと、岩の上の雄鶏が描かれています。下部に記された文字はラテン語で「ANNOは年」、ローマ数字で記された「MDCLXIXは1669」を意味しています。つまりこの門の竣工年である1669年を指しています。
この門が建設される前の1620年頃には、ポルトガル人が建てた桟橋があったと言われていますが、その後オランダの統治時代に城壁の一部を構成する倉庫につながるように入り口が変更されました。その後も、イギリス統治時代に拡張されたり変更が加えられました。
この門の内部のアーチと石柱などからもイギリス時代に行われた様々な変更を見て取ることができます。

2.海洋考古学博物館(Maritime Archaeology Museum) 海洋博物館(Maritime Museum)
旧) オランダ領時代の倉庫と英国領時代のオフィス(Old Dutch Warehouse & British Office Complex)
17世紀にオランダ人によって建てられたオールドゲート(オランダ門)は、長さ143メートル、幅13.6メートルの2階建ての建物で、倉庫として建てられたものですが砦としての役割も果たしていました。
当時のオランダ総督の指揮の下に建てられたこの建物は、塩、胡椒など船積みに必要な商品が保管されていました。
イギリス統治時代には裁判所や土地登記所として利用されていたこの建物の一部は、現在海洋考古学博物館海洋博物館となっています。
海洋考古学博物館は2010年3月に開館した博物館で、 ゴール海域で行った潜水作業で回収した海洋考古学的遺物を公開することを目的に開館しました。

海洋博物館は1992年5月に開館(2004年12月のインド洋大津波でほぼ全壊したのち再建され2009年5月に再開)した博物館で、単細胞生物から最大の哺乳類であるシロナガスクジラまで、海洋環境におけるすべての生物に関する展示がされています。
↑博物館入り口
博物館側面

3.副警視総監オフィス(Police D.I.G’s Office
旧) ポルトガル領時代要塞/オランダ領時代要塞(Portuguese Fortaleza & Dutch Black Fort)/1844年イギリス統治時代警察署(Police station by the British)
現在、副警視総監オフィスとして使用されているこの場所は、ポルトガル並びにオランダ植民地時代に要塞だった場所で、トンネル、地下壕、倉庫など、ポルトガルの要塞によく見られるような戦争に必要な設備が整っていました。要塞の外壁は、石灰、砂やサンゴなどの石灰岩からできています。
敷地内にあるズワルト要塞(通称ブラックフォート)は、ポルトガル人が建てたもので、ゴールフォート内にある14の砦の中で最古とされています。昔は常に鍛冶屋や大砲や鉄砲の煙に包まれていたため、ブラックフォートとも呼ばれています。
ここはゴール港と桟橋、倉庫の警備を行う主要な防衛拠点でした。
1844年には
ズワルト要塞に行くには警察署(Office of Deputy Inspector General of Police)の敷地を通りますが、8時から17時の間であれば入場可能です(入り口の警察官に話すと中に通してもらえます)。
↑火薬庫であった場所や、見張り用の哨舎が残っています。
↑火薬貯蔵庫の建物の脇には下に抜けるトンネルがあります。
出口付近には上下スライド式のゲートがあり、出入りの制御ができるようになっています。
↑トンネルを抜けてトンネル側を振り返った構図。砲台が各所に設置しています。8つの砲台の台座跡が確認されています。
↑トンネルの上部は移動式大砲が設置されています
17世紀の統治時代に建てられた6室のアーチ形のこの建物は、オランダ人が連れてきたアフリカ人奴隷の収容所や、19世紀半ばから20世紀後半までは牢獄として使われていた建物。
建物は、サンゴとレンガの石組みを石灰と砂を混ぜ合わせたモルタルで固めて作られています。各部屋の上部には円形の煙突状の換気孔が設けられています。
屋根を支える石柱はイギリス統治時代のものであるとされています。

4.考古学局地方事務所(Regional office of the Department of Archaeology
旧) オランダの倉庫番の家(Dutch warehouse keeper’s house)
オールドゲートの真向かいにある考古学局の事務所は、かつては倉庫番の官舎兼事務所だったところで、入り口正面に座ると倉庫の両端を見渡すことができる位置にあります。

5.判事裁判所(Magistrate’s Court
旧) マレー人兵舎(Old Malayan Soldier’s Barracks)
マレーシア南西岸に位置するマラッカはスリランカとも似た歴史をたどっており、16世紀にポルトガル領、17世紀にオランダ領、19世紀にイギリス領を経ています。
オランダ軍はゴールの攻防戦においてマラッカより多くのマレー人が兵士として連れてきたとされています。

6.コートスクエア/野外劇場(Court Square Open Air Theater
判事裁判所最高裁判所の間にある広場には、スリランカ伝統のアンバラマがあります。
アンバラマは、4本柱の正方形の東屋のような建物で、旅人のために作られた休憩所のことを言います。旅人ための休憩所以外にも、地元の人々の会合の場としても利用されました。
この広場にあるアンバラマは2008年に改修されたものです。

7.最高裁判所・地方裁判所(District Court & High Court)-1927年 

8.船長官邸(Harbor Master’s Quarters)
旧) エケルスルート要塞(Akersloot Bastion)/英国陸軍病院の霊安室(Mortuary of the British Military Hospital)
17世紀にオランダ人によって建設されたこの要塞は、オランダ統治時代初代総督となったWillem Jacobszoon Costerの生まれ故郷であるAkersloot村にちなんで名前が付けられました。防
19世紀半ばに隣の病院(ダッチホスピタル)がイギリス軍によって拡張され、陸軍病院として使われていた際は、病院の霊安室として使われるようになりました。
20世紀初頭には全面的に改修され、船長の官邸として使用されました。
↑側面から見た外壁
↑現在はスリランカ港湾局のサーキットバンガローとして利用されています。

9.ジャックフルーツ/パンノキ(Old Breadfruit Tree)
オランダ人により持ち込まれたと言われる、スリランカで最も古いパンノキ
パンノキは現在スリランカ全土で栽培され、熟し度合いによりカレーや果物として日常的に食べられています。

10.ダッチホスピタルショッピングコンプレックス(Old Dutch Hospital
旧) ダッチホスピタル & 英国行政機関 (Dutch Hospital Precinct & British Administrative Office)
17世紀のオランダ入植時代に建てられた2階建ての病院で、1796年にイギリス軍に占領された後に拡張され、1850 年代には英国軍の兵舎として、その後は英国政府機関の事務所として使用されました。
スリランカ独立後は、ゴール市庁舎として使用されましたが、2003年に新市庁舎に移転したのを機に修復工事を経て、2014 年にショップやレストランが入るショッピング&ダイニングコンプレックスとしてオープンしています

11.駐在所(Police Offices
旧)  駐屯地図書館/船員食堂(Garrison Library& Seamen’s Canteen)
↑ホスピタルストリート側から見た建物
↑コートスクエア側から見た建物

12.警察訓練校(Police Training College
旧) イギリス警察兵舎 (British Police Barracks)-1927年

↑各年代の警察のユニフォームも展示されています

13.セイロン銀行地方オフィス(Bank of Ceylon Regional Office)
旧) エグリントンホテル(British Eglinton Hotel) 
1868年に建てられたホテルで、アールデコの建築的特徴が見られる美しい建物です。
現在は銀行として使用されています。
↑側面から見た建物。窓の形が特徴的です。
↑正面玄関。窓の形が特徴的です。

14.火薬庫(Dutch Gun Powder Storage)-1739年
オランダ統治時代に建てられたこの火薬庫は、ゴール要塞の他の火薬庫のように地下には設置されていません。
この火薬庫は、当時からほぼ変更されずに残っている貴重な建造物です。
↑ホスピタルストリート側から見た火薬庫。後ろに見える白い建物は灯台
↑灯台側から見た火薬庫
2つの小部屋のある建物の周囲を厚い壁で取り囲んでいます。
傾斜した屋根はテラコッタタイルで構成されています。
火薬が保管されていたため、オランダ統治時代にはこの建物の周辺には住居はありませんでしたが、イギリス統治時代にはこの建物の近くにも住宅が建てられ、火薬庫としての使用は中止されました。
↑火薬庫の内部構造(火薬庫に掲示されている説明パネルを撮影)

15.灯台(Lighthouse)-1938年
1938年に建てられたスリランカ最古の灯台です。高さは26.5メートル(地上約6mの砦の上に設置)。
これより前に、ゴールには1848年にイギリス人によって建てられ灯台がありましたが、1936年火災により焼失しています。

16.海水浴場(Sea Bathing Spot )
↑右側後方に見える白い仏塔(パゴダ)は、ウナワトゥナにある日本山妙法寺のピースパゴダ

【街歩きの際に】
地図の看板を白黒に加工しましたので、是非下記写真をプリントアウトして、建物巡りをしてみてください。

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