コロンボのレッドモスクとは?
コロンボの市場や卸売店、小売店が立ち並ぶペター地区に、ひときわ目を引くモスクがあります。ジャミ・ウル・アルファー・モスク(Jami Ul-Alfar Mosque)です。
1908年に建設が始まり、翌1909年に完成したこのモスクは、赤と白の印象的な外観から、通称「レッドモスク(Red Mosque)」と呼ばれています。コロンボを代表する歴史的建造物のひとつで、ペター地区のにぎやかな街並みの中でもひときわ目を引く存在です。
設計・建設を手がけたのはH. L. Saibo Lebbe。南インドの商人たちから提供された建築物の図案や画像を参考に、独特のデザインを生み出したとされています。
建築様式は、インドのイスラム建築などにヨーロッパの建築様式を融合させたインド・サラセン様式(Indo-Saracenic style)。インドやイスラムの伝統に、ゴシック・リバイバルや新古典主義の要素を組み合わせた折衷的な建築です。
モスクが建設された背景
このモスクが建設された背景には、ペター地区で商業活動を行っていた南インド出身のイスラム教徒商人たちの存在がありました。商売の拠点に近い場所に礼拝所を設けるため、商人たちが土地を購入して寄付し、モスクの建設が進められたといいます。
市場や商店が集まるペター地区に建てられたレッドモスクは、地域で商業活動を行うイスラム教徒たちにとって、信仰を支える大切な場所でもあったのです。
赤と白の外観とザクロを模したドーム
レッドモスクの大きな特徴は、赤と白を組み合わせた独特の外観です。
この色彩やドームの形は、ザクロから着想を得たとされています。丸みを帯びたドームはザクロの果実を思わせ、建物の赤と白の模様とともに、一般的な玉ねぎ形のほかのモスクとはひと味違う印象を生み出しています。
ザクロはクルアーン(コーラン)にも登場する果物です。こうした果実を思わせる意匠も、このモスクの興味深い特徴のひとつです。
また、建物のレンガは、格子状、ジグザグ、縞模様、渦巻き状など、異なる模様に手作業で彩色されているそうです。建物全体を覆う幾何学的な模様も、レッドモスクならではの見どころです。
創建当初から残る時計とレッドモスクの歴史
レッドモスクには、建築そのものに加えて、興味深い歴史を持つ時計もあります。
創建当初のドームに設置された時計はウクライナから運ばれたもので、現在も動き続けています。
レッドモスクは、かつてコロンボ港に近づく船乗りたちにとっても目印となっていたと伝えられています。高層ビルが立ち並ぶ現在とは異なり、港から見える特徴的な建物は、街の位置を把握するうえでも重要な存在だったのでしょう。
建設当初は約1,500人を収容できる規模でしたが、礼拝者の増加に伴い拡張工事が行われました。1975年に拡張が始まり、2000年代には新しい礼拝施設も加わっています。
↑ 建築当初から残る礼拝場↑ 増築によって設けられた新しい礼拝場
現在のレッドモスクは、歴史ある旧棟の建築を残しながら、より多くの礼拝者を迎える施設となっています。
レッドモスクの内部見学
非イスラム教徒も内部を見学できる
モスクというと、イスラム教徒以外は立ち入りが制限されているイメージがあるかもしれません。しかし、レッドモスクでは、非イスラム教徒の旅行者も内部を見学することができます。
見学時間は基本的に月~土の11:00、13:30、16:30の1日3回※となっています。金曜日は金曜特別礼拝のため、9時30分から15時までは見学者の入場が制限されます。
※見学時間は変わりますので、事前に現地で確認することをおすすめします。見学可能な時間であっても、礼拝時間(日によって礼拝時間が変わります)と重なる場合や案内スタッフが不在のため内部を見学できない場合もあります。
内部を見学する際は、自由に見て回るのではなく、モスクのスタッフによる案内を受けます(説明言語は英語で約1時間)。その日の決められた時間に集まった見学者と合同で案内を受ける流れとなります。入場は無料ですが、寄付を求められます。
見学者用の入口はゲート3
モスクには5つのゲートがあります。
ゲート1・2・4は男性礼拝者用、ゲート5は女性礼拝者用となっており、観光客(見学者)はゲート3からのみ入場できます。
露出が気になる服装でも大丈夫
通常、モスクを訪れる際は、肌の露出を控えた服装が基本ですが、レッドモスクでは見学者用に、体を覆うためのアバヤ(マント)が用意されています。
そのため、旅行中の服装が気になる方も心配はいりません。マントを借りて体を覆えば見学できるので、観光の途中でも立ち寄りやすいのがうれしいところです
↑見学者用に用意されたアバヤ(体を覆うマント)イスラム建築の装飾を間近で楽しむ
外観の美しさで知られるレッドモスクですが、内部にも見どころがあります。
モスクのために作られた幾何学模様のタイルやステンドグラス、カリグラフィー(アラビア文字による書)など、イスラム建築ならではの装飾を間近で見ることができます。
↑↓カリグラフィーが施された男性礼拝者用の扉。観光客(見学者)は、こちらから入場できません。
↑階段の裏側にも、細やかな装飾が施されています。↑↓幾何学模様が美しいステンドグラスやタイル
モスクの外観や内部には、アラビア文字を用いたカリグラフィー装飾があちこちに見られます。アッラーが唯一の神であることや、預言者ムハンマドが最後の預言者であることなど、イスラム教の基本的な信仰を表す言葉が記されているとのこと。
館内では、案内スタッフからモスク建立の経緯や建築、内装の特徴について説明を受けられることもあります。カリグラフィーに描かれたアラビア文字の意味など、外観を眺めるだけでは分からない興味深い話を聞けるのも、内部見学の魅力です。
↑モスク内部を支えるチーク材の柱。スリランカ北西部のプッタラム産の木材が使われています。
↑礼拝に先立ち、手や顔、足を清める水場(見学者は洗う必要はありません)。コロンボ観光ではレッドモスク内部も是非
ペター地区の活気ある市場の中に建つレッドモスクは、赤と白の独特な外観だけでなく、インド・サラセン様式の建築や繊細なイスラム装飾も楽しめる場所です。
非イスラム教徒の旅行者にとって、モスクの内部を見学できる貴重な機会でもあります。
ペター地区の市場散策とあわせて、時間に余裕があれば、ぜひ見学してみてください。





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