ベントタにあるクラブヴィラ(Club Villa)は、3棟17室からなるジェフリー・バワ設計のブティックホテルです。隣には、同じくバワが設計(改築設計を含む)を手がけたヴィラベントタ(The Villa Bentota)があります。
クラブヴィラ(Club Villa)とは?ジェフリー・バワが設計したベントタのブティックホテル
クラブヴィラ誕生のきっかけ
バワは、ベントタの線路沿いにある19世紀築のヴィラ(現在のThe Villa Bentota)に目を付けており、誰かに購入してもらったうえで、自ら改築設計を手がけたいと考えていました。そのため、友人たちに購入を勧めていたといいます。
この物件を勧められた一人が、当時セレンディブ・ホテル(現ターラベントタ/Taala Bentota)の支配人だったハミード氏でした。
ハミード氏はその物件自体は購入しませんでしたが、南側に隣接する土地を購入し、自身の別荘とツアーガイドなどに貸し出すための客室の設計をバワに依頼します。それが今回紹介するクラブヴィラです。
1976年に4ベッドルームからなるハミード夫妻の別荘が完成し、1980年にはツアーガイド向けのヴィラ棟も完成しました。
3棟17室へ発展したクラブヴィラの歴史
その後、ハミード夫妻は、現在のヴィラ棟の増築をアンジャレンドラン(バワのアシスタント兼秘書)に、新たなヴィラ棟の設計をチャンナ・ダスワッテ(バワの元アシスタント)に依頼し、現在の3棟17室へと発展しました。
クラブヴィラの建築|3人の建築家が手がけた空間
ハミード夫妻の旧邸宅を活用したメイン棟
ハミード夫妻の別荘だった建物(写真上3枚)。現在はデラックスルーム4室(1階2室・2階2室)とバーラウンジとして利用されています。
バワ設計のヴィラ棟とレセプションエリア
門を入ると、ハミード夫妻の別荘部分の入口(写真上)と、ヴィラ部分の入口(写真下)が別々になっていることが分かります。
しかし内部に入ると、屋根で建物同士がつながっていることが分かります(写真下)。
↑右側がヴィラの入り口。左側の入り口はハミード夫妻の家屋の部屋の入口の一つ。
レセプションエリア(写真上下)
ツアーガイド向けに造られたヴィラ棟。現在はスタンダードルーム7室(1階3室・2階4室)とダイニングエリアになっています。↑ベランダ側
↑客室入り口側
↑ダイニングルーム

チャンナ・ダスワッテ設計の南側ヴィラ棟
南側にあるヴィラ棟(写真上)はチャンナ・ダスワッテが手がけた建物で、現在はクラブスイート1室(1階部分)とデラックスルーム3室(2階部分)として利用されています。
隈研吾によるリノベーション
日本企業による運営
このホテルは2014年より日本のばんせい証券が取得・運営しています。運営が移った後、日本を代表する建築家の隈研吾氏がリノベーションを手がけました。
↑ホテルの看板も隈氏が手掛けています
隈研吾によるリノベーションについては『バワと研吾―クラブ・ヴィラ―The Bridge of Culture vol.02 』という書籍にもまとめられています。
スリランカを代表するアーチストラキ・セナナヤケ(Laki Senanayake)のドローイングが描かれたレセプションエリアが本の表紙となっています。
ラキ・セナナヤケの壁画とレセプション空間
レセプションエリアの壁面には、スリランカの世界自然遺産であるシンハラージャ森林保護区をモチーフとした樹林の絵が描かれています。
その前には、壁面の長さに合わせた低いベンチが置かれ、座布団を思わせる赤いクッションがラキ・セナナヤケの素描画を引き立てています。
家具や照明に取り入れられた隈研吾のデザイン
また同じレセプションエリアには、日本の家具メーカータイムアンドスタイル社と隈氏のコラボレーションシリーズの一つである『🔗MAソファ』が使用されています。
布地には特注のスリランカ製ファブリックが用いられており、その色彩はクラブヴィラの空間をイメージしながら選んだものだそうです。
バーカウンター↑
バーエリア(写真上下)
レストランでは、木製シーリングファンや銅製のブラケットライト(写真下)、カウンターテーブルなどが隈氏によるデザインとなっています。客室内では、梯子状のタオル掛けや冷蔵庫収納家具などに隈氏のデザインを見ることができます。
↑上記写真1枚は🔗Club Villa公式ページの写真に赤枠を追加
↑冷蔵庫カバーとティーバックや砂糖などを入れる引き出しを備えた収納棚レセプションのソファやラキの壁画前のベンチは独特の存在感を放ちながらも、周囲の空間と調和し、互いを引き立て合うインテリアとなっています。
一方で、客室の収納家具には未塗装に近い淡い木材が使用されているためか、一番最後に追加されたはずの隈氏のリノベーション家具の黒ずみや傷みがやや目立ちます。
重厚感のあるアンティーク家具と並ぶと、少しアンバランスな印象を受けるのも正直なところです。
クラブヴィラの客室|デラックスルームは部屋ごとに個性が異なる
宿泊したい部屋があるなら予約時のリクエストがおすすめ
前半で紹介したように、3棟17室のうち1棟はチャンナ・ダスワッテが手がけています。
スタンダードルームはすべてバワ設計の棟にあり、クラブスイートはチャンナ設計の棟にあります。
一方、デラックスルームは両方の棟に配置されているため、部屋ごとに間取りや雰囲気が異なります。
特定の部屋に宿泊したい場合は、予約時に希望を伝えることをおすすめします。
メゾネットタイプの部屋では、階段下を荷物置きとして活用するなど、限られた空間を有効活用した造りになっています(写真上下)。
↑上記写真のデラックスルームは、バワが手がけた北側の棟(旧ハミード夫妻邸)にある部屋です。なお、同じ棟でも1階と2階では部屋の造りが異なります。
まとめ
クラブヴィラ(Club Villa)は、ジェフリー・バワが設計した建築を基盤に、アンジャレンドラン、チャンナ・ダスワッテ、そして隈研吾と、時代を超えて複数の建築家が関わりながら発展してきた希少なブティックホテルです。
建物ごとに異なる設計思想を感じられるだけでなく、ラキ・セナナヤケの壁画や隈研吾が手がけた家具・照明など、建築とアート、インテリアが調和した空間も大きな魅力です。
17室というコンパクトな規模ながら中庭は広く、静かで落ち着いた滞在を楽しめるため、バワ建築をゆっくり味わいたい人にぴったりのホテルです。隣接するヴィラベントタと合わせて訪れることで、ジェフリー・バワの建築世界をより深く体感できるでしょう。






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