Maniumpathyとは?
Maniumpathy(マニウムパティ)は、スリランカ北部ジャフナのManipay(マニペイ)をルーツとするハロック家が、5世代にわたって暮らしてきた歴史ある邸宅を改装したブティックホテルです。
ホテルがあるのは、コロンボ7のCinnamon Gardens(シナモン・ガーデンズ)。大使館や大使公邸なども多い、緑豊かで閑静なエリアです。
現在は、歴史ある邸宅の雰囲気を残した全7室のスイートからなるブティックホテルとして営業しています。
5世代にわたって暮らしたハロック家
Maniumpathyの歴史を語るうえで欠かせないのが、スリランカ北部・ジャフナのManipay(マニペイ)出身のハロック家(Hallock family)です。
Manipayは、19世紀のジャフナで繁栄した地域の一つでした。農業や土地所有を基盤とする有力な家々があり、さらに宣教師による学校教育の発展によって、医師や官僚などの専門職に進む高学歴層も多く輩出しました。
そのManipay出身のSavaranamuttu Hallock医師は、イギリス・スコットランドのアバディーン大学(University of Aberdeen)で外科医としての教育を受けた後、当時イギリスの植民地だったセイロンの医療行政を担うCeylon Medical Service(セイロン医務局)に入り、植民地政府の外科医として勤務しました。
その後、コロンボのKynsey Roadに土地を購入して邸宅を構えました。Kynsey Roadは当時、多くの医師が暮らしていた地域で、現在のスリランカ国立病院(National Hospital of Sri Lanka)にあたるColombo General Hospitalにも近い場所でした。
こうしてコロンボに建てられた邸宅は、その後5世代にわたってハロック家の住まいとして受け継がれていきました。
150年以上の歴史を持つ邸宅
Maniumpathyの建物は、長い歴史の中で一度に完成したものではなく、家族の生活や時代の変化に合わせて、増改築を重ねてきた邸宅です。
この邸宅は1868年に建てられたとされ、その後100年以上の歴史の中で段階的に建物が変化してきとされています。
赤瓦の屋根、白く塗られた壁や柱、伝統的な格子細工など、スリランカの植民地時代の邸宅を思わせる建築要素が随所に見られます。
長い年月の間に加えられた部分によって、建物には微妙に異なる建築的特徴が見られるのも、この邸宅の興味深いところです。
歴史的な邸宅を生かしたブティックホテル
長くハロック家の住まいとして受け継がれてきた邸宅は、現在では、歴史的な雰囲気を生かしたブティックホテルへと生まれ変わっています。
ホテルへの改装を手掛けた建築家は、Chamika de Alwisです。
改装にあたっては、ハロック家が残した写真や家族の記憶をもとに、古いManiumpathyの雰囲気をできるだけ残すことが重視されました。
当初のホテル化計画では、旧邸宅の見た目や雰囲気が失われていたため、家族はその案を受け入れず、計画を見直すことになったとされています。その結果、元の邸宅の構成を維持しながら、背後にあった使用人用の建物を拡張して客室を設けるという方向に変更されました。
館内にはアンティーク家具や家族ゆかりの品々が置かれ、歴史ある邸宅ならではの重厚で落ち着いた雰囲気が感じられます。
ハロック家の女性たちにちなんだ7室のスイート
現在のManiumpathyは、7室のスイートからなる小規模なブティックホテルです。
客室は、マスタースイート(77㎡)が1室、ウルトラスイート(55㎡)が4室、デラックススイート(48㎡)が2室という構成になっています。
同じカテゴリーの客室は基本的に同程度の広さですが、客室ごとに家具やファブリック、ベッドカバーなどが異なり、それぞれ個性のあるインテリアになっています。
アンティーク調の木製家具や四柱式ベッドなどが配されており、歴史ある邸宅の雰囲気を感じながら滞在できるのも魅力です。
↑上記6枚は、ウルトラスイートの1室「Ranee」。ガーデンウィング2階にあり、バルコニーからは中庭とプールを見渡せます。
さらに、7室の客室にはそれぞれ、ハロック家の各世代の女性にちなんだ名前が付けられています。
客室のインテリアだけでなく、その名前にもハロック家の歴史が受け継がれているところが、Maniumpathyならではの特徴です。
邸宅に残るジャフナの文化と歴史
黒檀の家具など、館内に置かれたアンティーク調度品には一つひとつ精巧な細工が施されており、美しく重厚な雰囲気を醸し出しています。
↑一枚板の黒檀はとても貴重なものだそうで、重厚感のあるテーブルセットがひときわ目を引きます。
ホテルのロゴは、ハロック医師の時代から受け継がれている「Nandi(ナンディ)」と名付けられた牛の像をモチーフにしています。

↑上記のロゴは🔗ホテルの公式ページより転載
↑ホテルのシンボルマークにもなっているナンディ像
ナンディ(Nandi)は、ヒンドゥー教の神シヴァの乗り物(ヴァーハナ)とされる神聖な牡牛で、シヴァの熱烈な信者としても知られています。
館内には、牛をモチーフにしたものや、ヒンドゥー文化に由来する絵画や壁掛けも多く、スリランカ北部・ジャフナをルーツとするハロック家の文化を感じることができます。
↑馬頭の天上の音楽家Tumburu(トゥンブール)と考えられる像や、牛頭の人物像など、ヒンドゥー文化やインド神話を思わせる古いレリーフが飾られています。また、リビングにはハロック家の写真も飾られています。
こうした古い品々や家族の写真が現在も館内に残されていることからも、Maniumpathyは単に歴史ある邸宅を改装したホテルではなく、ハロック家の記憶や歴史を受け継ぐ場所であることが感じられます。
ホテル名のManiumpathyは、ハロック家のルーツであるジャフナのManipay(マニペイ)に由来しています。
Manipayへの敬意を込め、地名のManipayに、タミル語で「家」を意味するpathyを組み合わせて名付けられたものとされています。
つまり、「Manipayの家」というような意味合いを持つ名前です。
つまり、ホテルの名前そのものにも、ハロック家とジャフナとのつながりが残されています。
ジャフナ料理も楽しめるレストラン
Maniumpathyでは、宿泊しなくてもレストランで食事を楽しむことができます。
緑に囲まれた涼しいVerandah Restaurantには大理石のテーブルが並び、開放的な雰囲気の中で食事やコーヒー、スイーツなどを楽しめます。
料理はローカル料理やフュージョン料理など幅広く、なかでもハロック家のルーツにちなんだジャフナ料理が特徴です。
ランチでは、Authentic Jaffna Thali(ジャフナ・ターリー)が提供されています。
↑ジャフナ・クラブのターリ
歴史ある邸宅を見学するだけでなく、ハロック家のルーツであるジャフナの食文化にも触れられるのが、Maniumpathyの魅力の一つです。
コロンボに残る異なる文化のルーツ
以前、同じコロンボにある歴史的な邸宅を改装したホテル、Isuq Colomboをご紹介しました(⇒『🔗コロンボの隠れ家ホテル「Ishq Colombo」イスラム美術に囲まれたラグジュアリーヴィラ』)。
Isuq Colomboは、かつてイスラム教徒の一家が暮らしていた邸宅で、館内の随所にイスラム文化や美術の影響を見ることができました。
一方、こちらのManiumpathyでは、牛のナンディ像をはじめ、スリランカ北部・ジャフナのヒンドゥー文化や美術が色濃く残されています。
同じコロンボにある歴史的な邸宅でも、そこに暮らした人々のルーツによって、建物の雰囲気や残されている文化が異なります。
こうした邸宅を由来としたホテルを訪ねることでも、コロンボという一つの都市の中に、さまざまな文化や歴史が重なっていることを感じることができます。





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