2025年5/10追記) 5/9に日本テレビ系列で放送された『
沸騰ワード10』でも
ヘリタンスカンダラマが紹介されました。

ヘリタンス・カンダラマとは|自然と一体化したジェフリー・バワの代表建築
建築家ジェフリー・バワ唯一の内陸ホテル
ヘリタンス・カンダラマ(Heritance Kandalama)は、スリランカを代表する建築家
ジェフリーバワ(Geoffrey Bawa)が手がけたホテルです。彼が設計したスリランカのホテルの中で、唯一の内陸部に位置するホテルでもあります。
「自然に回帰するホテル」と呼ばれる理由
「自然と一体化したホテル」と称されるように、緑に覆われた外観や、目の前のカンダラマ湖とつながっているように見えるインフィニティプールなど、強いテーマ性を持つ建築が特徴です。雑誌で特集が組まれることも多く、フォトジェニックなホテルとしても知られています。
建築好きが世界中から訪れる名ホテル
「カンダラマホテルに泊まること」を目的にスリランカを訪れる方も少なくありません。日本の雑誌でもたびたび紹介され、建築家や著名人が「おすすめのホテル」「泊まりたいホテル」として名前を挙げることもあります。
📚建築家・八木惣一郎さんが感動したホテル、憧れの宿ベスト3(Modern Living-2024年10月30日)
📚建築家・彦根明さんが感動したホテル、憧れの宿ベスト3(Modern Living-2024年8月20日)
📚建築家・中村拓志さんが感銘した宿、憧れのホテルベスト3(Modern Living-2023年7月6日)
📚宿泊して体感!ジェフリー・バワの名作「ヘリタンス カンダラマ」の魅力(Modern Living-2024年4月23日)
そんなヘリタンスカンダラマのルームカテゴリについては、以前の投稿で紹介しました↓
🔗『ヘリタンスカンダラマ徹底解説(ルームカテゴリ編)』(2018年12月6日投稿)
追記)🔗『ヘリタンスカンダラマ(動物観察編)』(2025年2月2日投稿)
追記)🔗『ヘリタンスカンダラマに連泊する?しない?』(2025年7月7日投稿)
ヘリタンス・カンダラマは建築を「歩いて楽しむ」ホテル
約900m続く館内は散策そのものが魅力
以前の投稿では、ルームカテゴリーについてご紹介しました。その中で「滞在時間が限られているなら、室内にとどまるよりも館内外の探索をおすすめします」と書きました。
ヘリタンス カンダラマの魅力は、客室やインフィニティプールだけではありません。館内には、ジェフリー・バワの建築思想や美意識が随所に散りばめられており、歩くだけでも多くの発見があります。
場所ごとに変わる景色を楽しもう
このホテルは高低差のある土地に建てられており、全長は約900m。左右に長く伸びる構造が特徴です。場所や階層によってまったく異なる景色が楽しめるのも大きな魅力です。
ヘリタンス・カンダラマで必ず見たい館内の見どころ、6つのポイント
今回は、初めて宿泊する方にもぜひ見ていただきたい館内外の見どころをご紹介します。
① レセプション|孔雀のタイルアートと再利用されたカウンター
宿泊者が必ず訪れるレセプションは、ヘリタンス カンダラマを象徴する空間のひとつです。背後の大きなタイルアートと、重厚感のある長いカウンターがまず目を引きます。
タイルの四角いモチーフをよく見ると、中央には4羽の孔雀が描かれています。また、左右で色の濃淡が異なっており、夜明けから夕暮れまでの時間の移ろいを表現しているといわれています。
レセプションカウンターは、もともと柱として使用されていたものです。横から眺めると、その名残を確認することができます。
ホテルに到着したら、チェックインの前後にぜひ足を止めて細部まで観察してみてください。
② フクロウのオブジェとバワのデスク&チェア
カンダラマを象徴するアート作品といえば、ラキ・セナナヤケ(Laki Senanayake)によるフクロウのオブジェでしょう。ホテル紹介の記事や雑誌でも、このアングルの写真が使われることが多く、カンダラマを代表する風景のひとつとなっています。
この作品は両面に顔が彫られており、見る角度によって飛び立つ姿にも、舞い降りる姿にも見えるユニークなデザインです。。

その近くの階段の踊り場には、バワが使用していたといわれるデスクとチェアが置かれています。
椅子が机に対して斜めに配置されていることに気づく方もいるかもしれません。バワは椅子を引かずに自然に腰掛けたり立ち上がったりできるよう、このような角度で配置することを好んだといわれています。
現在は宿泊者も自由に利用できるため向きが変わっていることもありますが、ぜひ本来の配置を想像しながら座ってみてください。

ここからは、カンダラマ湖の向こうに世界遺産シーギリヤロックとピドゥランガラロックを望むことができます。
③ バワがこだわった椅子のデザイン
館内にはさまざまな椅子が配置されています。バワは椅子を単なる家具ではなく、空間を構成する重要な要素として捉えていました。そのため、座ったときに見える景色や周囲との関係性まで含めてデザインしていたとされています。
代表的なのが、ホテル名を冠した「
カンダラマチェア」です。黒く塗装されたスチール製のフレームと、美しい曲線が特徴的な椅子です。
館内には、座面と背もたれが木製スリットになったタイプも見られますが、横から見るとカンダラマチェアと共通するフォルムであることが分かります。
このデザインは、建築家・デザイナーのラッセル・ホール(
Russel Hall)が手がけた「Ripple Chair」から着想を得たともいわれています。元となった椅子は、バワの週末の別荘ルヌガンガでも見ることができます。
カンダラマでは、廊下や階段の踊り場など、思いがけない場所にも椅子が置かれています。館内を散策しながら、それぞれの椅子のデザインと、そこから見える景色をぜひ楽しんでみてください。
④ ダンブッラウィング|サンセットと外廊下のデザイン
ホテルは大きくシーギリヤウィングとダンブッラウィングに分かれています。
レストランやラウンジなど主要施設の多くはシーギリヤウィング側にあるため、ダンブッラウィング宿泊者は自然とシーギリヤ側へ足を運ぶ機会が多くなります。一方で、シーギリヤウィング宿泊者はダンブッラ側まで足を延ばさないことも少なくありません。
しかし、ダンブッラウィングにも見どころがあります。
ここには3つのプールの中で最も長く、最も深いラシュミプールがあります。西向きに位置しているため、夕暮れ時には美しいサンセットを楽しむことができます。

また、ダンブッラウィングへと渡る
外廊下も必見です。
床面には動物をモチーフにした線画が彫り込まれていますが、これは装飾であると同時に、雨天時の滑り止めとしての役割も果たしているといわれています。
⑤ エナ・デ・シルバらによるアート作品
ヘリタンス カンダラマの魅力は建築だけではありません。館内には数多くのアート作品やスリランカの伝統工芸品が展示されており、まるで小さな美術館を歩いているかのようです。
館内の階段の踊り場や渡り廊下に置かれている木彫りの人形は、
エナ・デ・シルバ(Ena de Silva)による作品です。
エナはスリランカを代表するバティック・アーティストとして知られていますが、その活動はバティックにとどまりません。刺繍や木工、真鍮鋳物など、さまざまな伝統工芸の復興にも尽力しました。
(↑上記写真はヘリタンスホテル公式ブログより転載)館内に展示されている大きな木製の象の彫刻も、彼女のデザインによるものとされ、スリランカの伝統的な子どもの引き玩具から着想を得たといわれています。
また、館内に飾られている下記の織物作品もエナのデザインで、夕暮れのカンダラマ湖とその周囲の風景が表現されています。
木彫り人形の上部に見える金属製のドールハウスは、建築家チャンナ・ダスワッテ(Channa Daswatte)による作品です。不要になった金属片を溶接して制作されたもので、遊び心あふれる作品となっています。
建築だけでなく、こうしたアート作品にも目を向けることで、カンダラマ滞在はさらに奥深いものになるでしょう。
⑥ カンダラマ限定グッズ・お土産
ホテルのシンボルマークとなっているのは、シンハラ文字 で"力"を表す"ක"。
アメニティや備品にもこのデザインが用いられています。
特にお勧めなのはマグカップ。シンハラ文字が書かれていて"ක"だけフォントが異なっています。製造は、日本の陶磁器メーカー Noritake(ノリタケ)が、スリランカ、インド、モルディブ地域向けに販売している「Goldmark by Noritake」によるもので、品質も安心です。

「ක」のデザインを手がけたのは、設計チームの重要メンバーでもあったスマンガラジャヤティラケ(Sumangala Jayathilake)。バスルームタイルの植物モチーフも彼のデザインです。
(↑上記写真はホテル公式ページより転載)客室のグラスの下に敷いてある
紙製のコースターは持ち帰り可能なので、滞在の記念にもおすすめです。
📚バワ関連本
多くのバワホテルを知りたい方におすすめ
ジェフリー・バワが手がけた代表的なホテルやヴィラ14か所が、美しい写真とともに紹介されています。写真が豊富なので、宿泊してみたいバワホテルを選ぶ際の参考にもなります。
また、著者による「バワ建築をもっと知る・楽しむためのコラム」6編も収録されており、建築巡りがさらに楽しくなる一冊です。
写真でバワ建築を楽しみたい方におすすめ
フリーカメラマンの関根虎洸氏が世界各地のホテルを巡り、その魅力を写真と文章で綴った旅行記です。
第2章「ジェフリー・バワを巡る」では、ヘリタンス・カンダラマやヴィラ・ベントタ、ルヌガンガ、Number 11、ヘリタンス・アフンガッラ、Boutique 87などのバワ建築を、美しい写真と旅行記ならではのエピソードとともに紹介しています。
なかでも注目は、一般見学では撮影が禁止されているNumber 11のバワの寝室の写真が掲載されていること。実際に見学した人だけが目にできる貴重な一枚は、本書ならではの見どころです。
バワを深く知りたい方におすすめ
ジェフリー・バワの建築作品だけでなく、その人生や設計思想、当時のスリランカの社会・歴史的背景まで年代順に詳しくまとめられた、決定版ともいえる一冊です。
専門書に近い内容のため、日本語訳でもやや難しく感じる部分があります。最初の一冊というよりは、バワについてさらに深く学びたい方におすすめです。
原書(英語版)
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バワ建築巡礼の参考書を探している方におすすめ
ブライトン大学で建築を教え、ジェフリー・バワとも親交のあった建築史家デイヴィッド・ロブソン(David Robson)による一冊です。
59件のバワ建築について、美しい写真とともに建築の特徴や歴史、所在地、保存状況まで詳しく解説しています。
洋書ではありますが、作品ごとに整理されているため読みやすく、バワ建築を実際に巡りたい方にも役立つ内容です。
個人的には、現在刊行されているバワ関連書籍の中で最もおすすめしたい一冊です。
2026年6月号では、「ジェフリー・バワを求めて、今、再びスリランカへ」と題した特集が組まれています。
ヘリタンス・カンダラマやルヌガンガ、ベントタ・シナモン・ビーチ、ジェットウィング・ライトハウスを中心に、約10ページにわたってジェフリー・バワの建築が紹介されています。
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