スリランカカレー、味の決め手はトゥナパハ (カリーパウダー)
スリランカのスーパーマーケットには棚一面にスパイスが並べられています。
チリパウダーならチリパウダー、クミンならクミンというように、たいていスパイス単体でそれぞれ販売されています。
各メーカー品質に差はあれど原材料は同じなので、購入するときに特に気にする必要はありません。
しかし、カレーパウダー(シンハラ語での呼び名は「トゥナパハ」)を購入するときは、棚にある各社のカレーパウダーの原材料を見比べることをお勧めします。
カレーパウダーは、何種類かのスパイスがミックスされています。そしてスパイスメーカー各社で内容物が異なるためです。
そのため、レシピブック通りの分量で作ったとしても、使用するカレーパウダーが異なると味が異なります。
シンハラ語でトゥナは数字の3,パハは数字の5を指します。
つまり何種類かのスパイスが配合されたパウダーのため、カレーパウダーが「トゥナパハ」と呼ばれるようになりました。といっても5種以上のスパイスが配合されているのがほとんどです。
まずカレーパウダーには炒ったカレーパウダーと炒ってないカレーパウダーの2種類あります。各社ほとんどこの2種を販売しています。
炒ってないカレーパウダーは「Unroasted(またはRaw) Curry Powder(アムトゥナパハまたはトゥナパハ)」と表示されています。炒ったカレーパウダーは「Roasted Curry Powder(バダプトゥナパハ)」と表示されています。
大まかに分けると、アンローストカレーパウダーは野菜のカレーやキリホディ(ココナツミルクの汁気多め)の種類に使います。ローストカレーパウダーは、魚や肉のカレーやミリスホディ(チリの汁気が強め)のカレーに用います。
アンローストカレーパウダーを炒ればローストカレーパウダーになりますが、カレーパウダーに関しては、是非アンロースト、ローストのそれぞれ買い求めることをお勧めします。
なぜなら、下記を見ていただければわかるように、同じ会社でもアンローストとローストのスパイスの内容や配合が異なるからです。それは上記に記載したように、アンローストとローストでは用途が異なるためそれぞれに合うような内容や配合となっています。
下記は、一部のスパイスメーカーのカレーパウダーの原材料を記しました。配合が多い順の記載となっています。配合率が書いてあるものはそのまま記載しました。
ローストとアンローストで異なる原材料には色をつけてあります。
【Nature Spices】
カレーパウダー
コリアンダー、クミン、フェンネル、シナモン、ターメリック、ディルシード、カルダモン、クローブ、カレーリーフ、ランペ、レモングラス
ローストカレーパウダー
コリアンダー、クミン、白米、カレーリーフ、レッドチリ、カルダモン、クローブ、シナモン、ランペ、ブラックペッパー、フェンネル
コリアンダー(60%)、クミン(20%)、フェンネル(6%)、ターメリック(5%)、カレーリーフ、フェヌグリーク、シナモン、カルダモン、クローブ、ランペ、レモングラス
ローストカレーパウダー
コリアンダー(60%)、クミン(21%)、フェンネル(5%)、マスタード、カレーリーフ、フェヌグリーク、シナモン、カルダモン、クローブ、ランペ、レモングラス
コリアンダー、クミン、フェンネル、ターメリック、カルダモン、クローブ、フェヌグリーク、シナモン、ランペ、カレーリーフ
【M’s】※ロースト、アンロースト以外に2種の計4種のカレーパウダーを出しています
カレーパウダー
コリアンダー、クミン、カレーリーフ、ターメリック、チリ、ジンジャー、マスタード、ペッパー
ローストカレーパウダー
コリアンダー、クミン、フェンネル、フェヌグリーク、チリ、ジンジャー、マスタード、カレーリーフ、クローブ、ペッパー
ジャフナ カレーパウダー※ジャフナ(Jaffna)はスリランカ北部の都市で南インドをルーツとしたスリランカンタミルが多く住む都市です。
チリ、コリアンダー、クミン、ペッパー、フェヌグリーク、ターメリック、カレーリーフ
マドラスカレーパウダー※マドラスは南インド地方のチェンナイのことを指します。南インド料理(タミル料理)はスリランカでも多く食べられる料理です。
コリアンダー、クミン、カレーリーフ、ターメリック、ペッパー、クローブ、ジンジャー、マスタード
【Wijaya】※ロースト、アンロースト以外に1種の計3種のカレーパウダーを出しています
カレーパウダー&ローストカレーパウダー(原材料は同じ。配合率が異なるかは不明)
コリアンダー、クミン、フェンネル、フェヌグリーク、マスタード、ターメリック、ガーリック、カルダモン、シナモン、クローブ、カレーリーフ、ランペ
ジャフナ カレーパウダー※ジャフナ(Jaffna)はスリランカ北部の都市で南インドをルーツとしたスリランカンタミルが多く住む都市です。
チリ(52%)、コリアンダー(25%)、クミン(8%)、ペッパー、フェヌグリーク、ターメリック、カレーリーフ、フェンネル、マスタード、ガーリック、シナモン、ランペ、カルダモン
カレーパウダーといっても上記に挙げた数社だけでもこんなに内容物(原材料)が異なるのがわかるかと思います。また、多くのメーカーはアンローストとローストの内容物(原材料)が異っているのもわかったかと思います。
その他にもメーカーによっては、チキンカレー用カレーパウダー、フィッシュカレー用カレーパウダーと素材別のカレーパウダーも取り揃えています。
各社の内容を見て分かるように、カレーパウダーの主な原材料はコリアンダーとクミンです。各社配合率は異なりますが、少なくてもこの2つだけで6~8割は占めているのではないかと思います。そこに各メーカー様々なスパイスを配合しています。
ジャフナカレーは、カニなどシーフードを素材に使ったスパイシーなカレーですが、ジャフナカレー用のカレーパウダーは原材料の筆頭にチリパウダー(唐辛子)がきていますので、スパイシーなのも納得です。
個人的なおすすめは最初に紹介したNature Spicesのカレーパウダーです(特にロースト)。
今までメーカー気にせず使っていましたが、Nature Spicesのローストカレーパウダーを使い始めてこれまでとは作り方は同じはずなのに味が全く異なり(味に深みが出て)、初めて各メーカーで原材料や配合が異なることに気づいたのです。
スリランカカレーは、カレーパウダーに様々なスパイスが配合されていても、素材によってカレーパウダーに含まれるスパイス単体を別に足して作ります。
でも、日本で気軽にスリランカカレーを作りたいと言っても、カレーリーフ(カラピンチャ)やランペがなかったり、カルダモンだけを買うには高かったりするかと思います。
さらには頻繁に作るわけではない場合、各スパイスを取りそろえるのは大変でもあり使い切れない可能性もあります。
そんな時は、なるべくカレーリーフ、ランぺなど日本では手に入れにくいものなどが含まれているカレーパウダーを選ぶようにすると良いかと思います。
なおローストカレーパウダーは、カレーだけでなくミルクティーやストレートティーに入れると、スパイスティーとしても楽しめます(その場合は、ガーリックやマスタードが入っていないカレーパウダーを選ぶことをお勧めします)。
是非、スリランカ料理に挑戦する際は、カレーパウダーにこだわってみてください。
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